2008-06-14

SonicWALL (2) --- IPS

SonicWall Total Security シリーズには、IPS(Intrusion Prevention System、不正侵入防御システム)が付属してきます。 これは SonicWALL 上の通信を監視し、悪意または不正な行為を検知・遮断する機能です。 通常のファイヤウォールは各ポートの通信を許可・不許可するだけですが、IPSはファイアウォールが許可したポートの通信の内容までも、シグネチャーデータベースに照らして監視します。ネットワーク管理者は SonicWALL の IPS が検知した不正または不正の可能性を含む通信の概要を警告メールとして送信するように設定することができます。 実際メール送信するように設定すると、やたら多くの警告メールが届き、困惑することになります。

よくある警告メール
警告メールの中を見ると、不正またはその可能性がある通信の内容の概要と、その危険度を低、中、高で示されています。 以下、ありがちな警告メールとその説明。

IPS Detection Alert: ICMP Destination Unreachable (Port Unreachable), SID: 310, 優先順位: 低 - 89.178.40.145, 17127, WAN, 89-178-40-145.broadband.corbina.ru - 192.168.*.*, 59367, LAN, ****** -
 外部からのICMPパケットがSonicWallの内側のホストに届かなかった場合に発生。 危険度は「低」。あまり気にする必要はないが、DoS攻撃やネットワーク構成の探知が行なわれている可能性もある。頻発する場合は要注意。 詳細解説


IPS Detection Alert: PROXY-ACCESS SOCKS 5 outbound proxy access, SID: 1775, 優先順位: 低 - 192.168.*.*, 38248, LAN, ***** - 219.160.253.130, 8558, WAN -

 SOCKS Protocol version 5のプロキシサーバへアクセス。攻撃ではないので無視。詳細解説


IPS Detection Alert: ICMP Time-To-Live Exceeded in Transit, SID: 352, 優先順位: 低 - 192.35.246.1, 53, WAN - 192.168.*.*, 1091, LAN -

IPデータグラムが断片化されて相手先ホストに送信されたため、一つ以上の断片化されたデータが未着となっているため、SonicWALLがデータ待ちをしない状態となる。 通常は無視してよいが、DoS攻撃やネットワーク構成探知行為の可能性もある。 詳細解説


Possible port scan detected -  210.248.168.20, 443, WAN, kanri.shopserve.jp -  *.*.*.*, 6887, WAN, ****** - TCP scanned port list, 6755, 6769, 6833, 6845, 6861

Possible port scan detected - 203.77.186.119, 80, WAN, cds32.tyo.llnw.net - *.*.*.*, 1277, WAN, *.*.*.jp - TCP scanned port list, 1263, 1267, 1271, 1273, 1275
クラッカーが侵入準備のために行うポートスキャン、但し、管理目的のことが多い模様。
***.tyo.llnw.net からは非常に多くのアクセスがあるが、Microsoft Windows Update が使用しているミラーサイト(負荷分散サイト)との推定あり。



SonicALERTの全種別一覧
http://software.sonicwall.com/applications/ips/index.asp?ev=cat

2008-05-30

SonicWALL (1)

UTM (統合脅威管理=Unified Threat Management) という言葉ですが、日本ではいまひとつ馴染みが無いようです。 言葉としてもいまいちな感じ。 Integrated Secrurity Appliance とか、All-in-one Security Mnagement Device とか、Security という言葉を入れたほうがピンとくると思うのですが。 認知度が低いのはネーミングが悪いせいかどうかは兎も角、UTM製品名で検索をかけてもヒットするのは宣伝・広告ばかりで、日本のIT関連メディアやユーザサイドからの情報は、今のところ多くはありません。 したがって、運用に際してはには、英語のサイトに頼ることが多くなります。

さて、当方で使用しているのはSonicWALL Total Secure TZ-180というUTMです。 この製品はインターネットとLANの間に配置され、インターネットとLAN間の通信を監視し、設定した内容に従い、許容されていない通信パケットを破棄するとともに、VPNによりパケットの暗号化も行います。通信パケットの管理/暗号化は、ファイアウォール、VPN、ゲートウェイアンチウィルス、アンチスパイウェア、IPS、コンテンツフィルタリングにより行います。 また、ログ解析機能(ViewPoint)/警告メール送信機能も付属しています。

このうち、ゲートウェイアンチウィルス/アンチスパイウェアはhttp/ftp/smtp/POP3といったプロトコル(メーカーの謳い文句による50以上)を監視し、ウィルスやスパイウェアを発見すると除去します。 ただ、ゲートウェイアンチウィルスがあれば個々のPC/サーバにウィルス等のマルウェア対策が必要ないかというとそうではなく、個々のPC/サーバでもやはり対策が必要だと思います。 テロや外国人犯罪を防ぐのに飛行場や港湾といった水際の対策だけではなく、国内に侵入された場合にそなえ個人レベルの警戒も重要、というのと同義でしょう。厭な世の中ですが、破壊・犯罪を防ぐためには仕方がありません。

コンテンツフィルタリングは有害サイトへのアクセスを防ぎます。 一見すると子供向けの機能のようですが、有害サイトにはマルウェアが埋め込まれていることが多く、アクセスするだけで感染することもあります。 有害サイトへのアクセス遮断はマルウェアの侵入を防ぐ意味もあります。

ファイヤウォールとIPS(Intrusion-prevention system、侵入防止システム)の違いですが、一般のファイヤウォールはIPとポートへのアクセスを許可/拒否するように設定できますが、許可しているポートへの通信は、その通信パケットの中に悪意の命令が埋め込まれていても通してしまいます。 その結果、例えば、バッファオーバーフローを起こし、PCの動作異常や異常終了を引き起こしてしまったり、データベースのデータを改竄・消去されてしまったり(SQLインジェクション)ということも起こりえます。 これに対してIPSは、通常、IPやポートに依存せず、通信パケットのヘッダからデータをシグネチャ(攻撃パターン)データベースに照らして監視し、シグネチャに合致する通信パケットは侵入とみなし破棄します。 SonicWALLのシグネチャは24時間自動アップデートされ、新たな攻撃パターンをデータベースに記録します。

参考
Intrusion-prevention system(Wikipedia/英語版)

シグネチャを超えたプロアクティブな防御を――チェック・ポイントが戦略披露


土屋

2008-05-27

セキュリティは個人による管理から集中・統合管理へ(2)

前回、セキュリティは個人ではなく、管理者が集中的、統合的に管理すべき旨を書きました。 理由は個人の資質に依存するのは問題だし、人はミスをするから。 これとは別の理由もあります。

Windowsやインターネットが広く普及し始めてすでに15年以上経ち、いまやPCを使いこなすスキルがすべての人に必須のように言われていますが、はたしてそうでしょうか? 例えば、営業マンにPCスキルは必須でしょうか? 私はそうは思いません。 営業は本来、モノを売り、売上と利益を上げ、顧客からの信頼を築きながら次回の販売に繋げる、というのが本分の筈。 その営業マンが各種アプリケーションソフトの習得やファイヤウオールの設定に時間を費やしているようでは本末転倒です。 優秀な営業であればあるほどその人の時間を営業以外の雑務に費やさせるのは会社にとって損失です。 営業マンには心置きなく数値を追わせてあげましょう。 

営業やその他の部門の人材にそれぞれの本業に専念してもらうには、システムのセキュリティは管理者が代わりとなって、集中・統合管理する必要があります。 そのソリューションとして前回書いたUTM(Unified Threat Management)というものがあります。では、そもそもシステム管理者が対処すべき脅威にはどのようなものがあるのか、列記してみましょう。

1.マルウェア
悪意のプログラム。 最も一般的なコンピュータシステムの脅威。 ウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、アドウェアなどに分類される。 ハードディスク上のデータを破壊、PCの動作異常・パフォーマンス低下、広告宣伝の強制表示、各種情報の漏洩・改竄などを引き起こす。

2.不正アクセス
許可されていないユーザによるPC/サーバへのログイン、大量の命令をサーバに送り回線速度やサーバ機能を低下または麻痺させる(DoS、Denial of Services)

3.データ傍聴・改竄
インターネットにおけるデータ送受信時のデータ傍聴・改竄

4.その他の脅威
SPAM---不特定多数、無差別に送信される宣伝・勧誘メール
有害サイト---犯罪、ポルノ、暴力、ドラッグなどのWebサイト

UTM製品はインターネットとLANの出入口に配置され、ファイアウォール、VPN、ゲートウェイアンチウィルス、アンチスパイウェア、IPS、コンテンツフィルタリングといった機能により、上記の脅威にそれ単体で対抗します。