2010-11-04

『売上猫くん on MySQL』開発日記 - 番外18 - FMで大きなSQLテーブルは扱えるのか? ― その3

FileMaker のVer9リリース時位にFM社が作成した不思議なドキュメントがある。『Introduction to External SQL Sources』(邦題:外部SQLソース入門)というタイトルが付いており、日本語版英語版がある。 読んでみると、

    ESS 機能セットは、FileMaker Pro をSQL データソースの「フロントエンド」として利用できるようにすることを意図したものではありません。 (The ESS feature set is not intended to allow FileMaker Pro to act as a “front end” to SQL data sources.)

と、衝撃の1文がある。ハァ? SQLデータベースに接続してFileMakerを使用しようとする者ならだれてもFileMakerまたはFileMakerで作成したアプリ(.fp7)がSQLデータベースのフロントエンドとなる、と思っている筈だ。 試しに「filemaker フロントエンド」をキーにググってみると、そう確信して記事を書いている人がたくさんいることがわかる。ところが、FM社の公式見解は、FileMaker(のESS)は、
「フロントエンド」として利用できるようにすることを意図したものではない、のである。 では、FM社がESSとか呼んでる機能なんなの?、ということである。 小生はフロントエンドとは、「ユーザが操作する部分=ユーザインタフェイス」位に理解していたのだが、念のためググってみると、こんな感じである。

Wikipedia
フロントエンドは、ユーザーと直接やりとりするソフトウェアシステムの部分を指し、バックエンドはフロントエンドへの出力を生成する部分を指す

IT用語辞典バイナリ
フロントエンドは、一般的に、表示やデータ入力を行うための仕組みを指し、ユーザーインターフェースUI)と同義と同義で用いられることも多い。
IT用語時点
ユーザからの操作の受付や画面表示などを担当するGUI(グラフィカルユーザインタフェース)プログラムなどがこれに当たる。

元々の小生の理解と大差は無い。であれば“ESS”はバックエンド(データベース)を操作するためのユーザインタフェイス=フロントエンドと言ってもいい筈だ。ただのユーザインタフェイスなんだから。 にもかかわらず、「FileMaker はフロントエンドじゃないんだ!」と宣言するFM社の意図はなんなのだろう?

ユーザはこの文章についてどう思っているのかと思いググってみたが、それらしき記事は日本のサイトには見当たらなかった。 海外のサイトには、上記のドキュメントに関する記事・投稿がいくつかある。

参考URL
SQL as backend? (2007年7月、V9当時?)
SQL performance: Alpha Five vs. Filemaker 9 benchmarks (2007年9月)
07.12.07FileMaker 9 SQL Link… ish(2007年9月)
beginners odbc question

特に3つめのURLは、Servoyという開発ツールと比較しながら、FileMakerの問題点を以下のように列挙している。

  1. SQLデータ変更時、その変更が他のユーザの画面に反映されない
  2. レコードレベルのロック機能がない
  3. テーブルやフィールドへの変更が自動的に反映されない
  4. ユーザが作成するSQLクエリを発行できない(SQLクエリは全てESSにお任せ)
  5. 未サポートのデータ型がある
  6. 検索が遅い
  7. ソートはさらに遅い(バックエンドでソートを行わず、一旦FMにデータをロードした後にそのデータをソートするため)
  8. データベース/テーブルをALTERできない

なんとなく解ってきた気がする。 開発者はFileMakerをフロントエンド開発ツールとして使用し始めると、他ツールと比較していろいろと不便な点があることに気がつく。 特に1.データ型、2.ユーザ独自のSQLクエリが実行不能、よって、3.検索、特にソートが非常に遅くなるというのは大問題で、簡単な回避策は無い。 ところが、多くのフロントエンド開発ツールは、何の問題もなくこれらのことを実行できる。 つまり、FM社が「フロントエンドにはなりませんよ」というのは、「他のフロントエンドツールにできることでも、FileMakerではできないことがあります。 その代り、FileMakerっぽくSQLのデータをある程度なら扱えますよ。 でも、FileMaker純正データベースとは違った結果が返ることも大いにありうるので、そこら辺、凄く注意して使ってね!」というのがかなりホントのところではないかと思われる。

(土屋)






関連リンク:『売上猫くん on MySQL』開発日記の記事一覧

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