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2016-07-06

FileMaker でレスポンシブなWebアプリを作る

 FileMaker(以下、FM)のデータベースを FileMaker Pro 以外のクライアント ― ブラウザ、iPhone/iPad、Android ― でも運用する場合、開発環境をFMにすべきか、カスタムWeb にすべきかを考えると思いますが、その際に考慮べき事項を比較表にまとめてみました。

×: terrible,  △: limited,  〇: OK,  ◎: Excellent
 
Go
WebDirect
Custom Web
開発費用
(Devlopment cost)
×
ライセンス費用
(License cost)
×
×
サーバ機費用
(Server machine cost)
×
×
ライセンス体系
(License policy)
×
×
開発の容易さ
(Ease of development)
×
コードの再利用性
(Code reusability)
×
×
開発の柔軟性
(Development flexibility)
×
×
レスポンシブ性
(Responsive Web Design)
×
×
Android等非iOS機との互換性
(Android compatibility)
×
スケーラビリティ
(Scalabilty)
×
他DBへの移植
(Migration to other DBs)


この表からは、
圧倒的ではないか、カスタムWebは

という感じですが、FMの世界では「開発費用」と「開発の容易さ」が他の要素を圧倒し、Go やWebDirect が採用されやすいのではないでしょうか。逆に言えば、他の要素が重要なプロジェクトでは、FMは使用されないのです。
 
 とは言いいつつ、 FM のカスタムWeb という需要は少なからずあり、またスマホ普及に伴う Mobile First な要望もあり、小社としてもまたーりとそれらにお応えしたい、と愚考している次第です。
 そんなわけで、『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』(以下、FMEasy在庫)をバックエンドに使用し、 iPhone/iPad だけではなく Android 等の非iOS デバイスにも対応したレスポンシブな Webアプリのプロトタイプ開発にトライしていきたいと思います。

開発環境

使用データベース: FileMaker(fmp12)
使用ライブラリ: jQuery、jQuery Mobile
対応デバイス: PC、タブレット、スマホ(非iOSデバイスを含む)


開発方針・目標

第1フェイズ


以下の方向で、FMEasy在庫の出庫関連機能をWebアプリ化→プロトタイプを作成する。
  1. マルチデバイス対応、RWD(Responsive Web Design)採用
    たとえばこんな感じで……。

    【PC利用時】

    Windows Chrome


    【タブレットPC利用時:縦置き】

    Nexus 7, Android, Chrome --- Portrait


    【タブレットPC利用時:横置き】

    Nexus 7, Android, Chrome --- Landscape


    【スマートフォン利用時】

    FreeTel Priori 3, Android, Chrome

  2. XML/fx.php/FM API for PHP/PDO(ODBC)の比較テストを適時実施
     →最適なAPIを決める(努力をする)
  3. 出庫伝票照会機能作成
  4. 出庫伝票追加・更新機能作成
  5. 出庫伝票検索機能及び一覧表示機能作成
  6. 出庫伝票PDF出力機能作成

第2フェイズ

  1. 第1フェイズで作成した機能をライブラリ化
  2. ライブラリを他のDBへ対応させる(PDOなら簡単なんじゃないかな)

第3フェイズ

  1. 上記ライブラリを使用することにより、お客様にレスポンシブなシステムをリーズナブルな価格で提供する
    \(^_^)/

 いろいろ書いてますが、予定は未定ですw


本ブログの関連記事について

 本ブログで今後公開予定の RWD によるカスタムWeb関連の記事は、カスタムWeb による開発を検討されているお客様に小社で開発したプロトタイプの仕様やテスト結果をご覧いただき、プロジェクト検討の一助になることを目指しています。


ということで、次回はこのプロトタイプの照会機能についてご紹介したいと思います。

(亀) 

2014-10-08

iPad のバーコードスキャンで入庫伝票を作成 ― FMEasy在庫のカスタマイズ

FileMaker Go 13 を使ったバーコード読み取り機能について

 FileMaker Go 13 にはバーコード読み取り機能が付属しています。
 専用のバーコードリーダーをお持ちであれば、もともとデスクトップからバーコード入力できますが、バーコードリーダーをお持ちでなくても、iPhone や iPad のカメラ機能でバーコードを読み取れるようになったのは嬉しいですね。



 外回りが多い営業さんや、倉庫管理をする際にも、モバイル操作でバーコード読み取りができれば、適用範囲も広がりそうです。

 今回は、弊社製品『FMEasy在庫』をカスタマイズすることによって、iPad から商品バーコード(JAN)を読み取りながら、入庫登録ができるようにする方法をご紹介します。


【開発レベル】
中級(レイアウト修正、テーブル修正、スクリプト修正について理解している)

【用意するもの】
1. 『FMEasy在庫 R1.0』または『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』
『FMEasy在庫』はこちらからダウンロードできます。
2. iPad/iPad Mini
3. FileMaker Go 13 (iPad にインストール)
FileMaker Go 13 はこちらからダウンロードできます。


注意:
1. 作業を始めるまえに、必ず『FMEasy在庫』のバックアップをお取りください。
バックアップのしかたはこちらを参照
2. 作業の際、修正場所を間違えると、既存の機能が動作しなくなる可能性があります。細心の注意を払い、ご自身の責任で行ってください。

『FMEasy在庫』に JAN 読み取り機能を追加する

 今回は、『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』を使って説明を進めていきますが、『FMEasy在庫 R1.0』開発版をご利用の方も、操作は同様となります。

1. 商品レイアウトに [JAN] フィールドを配置

 『FMEasy 在庫』には、[JAN] という名前の予備フィールドがあらかじめ用意されていますので、FileMaker Pro 12/13 を起動して開発者パスワードで EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 を開き、下図のように、お好みの位置に [JAN] フィールドを配置してください。



2. iPad からのJAN コード読み取り機能を商品レイアウトに追加


 iPad からから上図の[JAN]フィールドをタップしたときに、バーコード読み取り機能が走るようにします。

 スクリプトエディタを開き、「デバイスから挿入」スクリプトステップを使って[JAN]フィールドにバーコードが挿入されるように指定します。




 このとき、FileMaker Go で [JAN] フィールドをタップしたときのみ、このスクリプトが実行されるようにしますので、一行目の If 文に PatternCount(Get ( アプリケーションバージョン ); "Go") が指定されているところに注目してください。

 バーコードの読み取りが終わったら、次のフィールドに移動するように設計しておくと、システム運用時に使いやすくなるでしょう。

 これをスクリプトトリガとして、商品画面の [JAN] フィールドに設定します。
 イベント発生のタイミングは、OnObjectEnter (タップ時)になります。



 ここまでできたらレイアウトを保存します。

 FileMaker Go 13 で商品レコードにアクセスし、[JAN] フィールドをタップするとカメラに切り替わりますので、JAN のバーコードを読み取ると、JAN コードが登録されます。



 同じ要領で、JAN コードを商品マスタに登録していきましょう。



3. 入出明細テーブルに [JAN] フィールドを追加

 EasyData15.fmp12/EasyData.fmp12 のフィールド定義を開き、入出明細テーブルに [JAN] フィールドをテキスト型で追加します。



4. 入出明細の [JAN] から商品マスタの [商品ID]を呼び出すためのリレーションを追加

 EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 のリレーション定義を開き、「入庫レイアウト TOG」のセクションに下図のようにリレーションを追加します。

 入庫_商品#JAN TO の参照テーブルは商品テーブルです。
 商品と入出明細の [JAN] を関連づけます。



5. iPad 用の入庫管理レイアウトを作る

 EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 のレイアウトモードで新規レイアウトを作成します。
 FileMaker Pro 13 では、下図のように視覚的にレイアウトを作成できます。

 このとき、表示するレコードは「入庫」、レイアウト名は ipad 用の入庫画面とわかる名前を指定しておきます。

 また、ここでは縦置きを前提にしたレイアウト選択を行っていますが、運用時に縦置きと横置きとでどちらが使い勝手が良くなるかを事前によく検討しておくと、後々のレイアウト調整の手間が省けます。



 レイアウトのテーマや体裁はお好みで結構ですが、明細部分に [入出明細_入庫::JAN] フィールドを配置するのを忘れないようにしてください。

 たとえば、できあがったレイアウトを FileMaker Go 13 で閲覧してみると、以下のようになります。


 上図のように、[商品ID]と[JAN]フィールドは両方配置してください。

6. [JAN] のバーコード読み取りスクリプトを作り、OnObjectEnter のスクリプトトリガとして動作させる

 前述「2. iPad からのJAN コード読み取り機能を商品レイアウトに追加」と同じ操作になりますので、ここでは説明を省略します。
 
7. [商品ID]/[JAN] 相互呼び出しのスクリプトトリガを追加する

 iPad入庫画面で、[商品ID] を入力したら [JAN] を自動的に呼び出し、また[JAN]を入力したら [商品ID]を自動的に呼び出すようにスクリプトを作成します。

 『FMEasy在庫』のような分離モデルを採用したシステムの場合、レコード未確定状態ではフィールド定義のルックアップが正常に動作しないことがありますので、このスクリプトを考慮されるとよいでしょう。

備考: [仕入単価]、[単位]の呼び出しも用意しておくとより確実でしょう。



 スクリプトができたら、iPad入庫画面の [商品ID] と [JAN] のそれぞれに、OnObjectSave のタイミングでスクリプトトリガを設定します。



 これで準備が整いました。


 以降はデモビデオで実際の操作感をご覧ください。

『FMEasy在庫』に iPad から入庫登録をするデモ動画

商品を仕入れたという前提で、iPad入庫画面で商品のバーコードを読み取って JAN コードを入力しているところです。

 

 JAN コードの入力のタイミングで、[商品ID] が自動入力されます。
[数量]を入力すると、制御が次の行に移ることによって[JAN] 読み取りのスタンバイ状態になりますので、連続的な操作でバーコード読み取りができます。


 実際にやってみてわかったことですが、カメラ機能のフォーカスを合せるのに少々コツがいります。
 今回は手ブレ対策として、このように鉄アレイで本体を固定してバーコード読み取りをしました。



補足:
 このような iPad スタンドを使ってみると作業しやすくなるかもしれません。
 鉄アレイに比べれば見た目もグーーーンとおシャレですし、何と言っても角度を変えられますから^^。



※『FMEasy在庫』をカスタマイズするには、開発版が必要となります。


参考記事:
FileMaker Go による iPad/iPhone 向けソリューションの開発ヒント集


『FMEasy在庫』カスタマイズ関連記事:
受注・受注残管理モジュールを作る ― FMEasy在庫のカスタマイズ (1)
受注・受注残管理モジュールを作る ― FMEasy在庫のカスタマイズ (2)