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2022-05-24

位置情報をUDPで送信 ― TPC_IPS/QuickIPSの拡張

 当社の屋内位置測位システム『TPC_IPS』 はビーコン信号をサーバ上の位置測位エンジン(TCOT)により解析し、算出された各ビーコンの位置情報をデータベースに保存します。ユーザは適時クライアント機からデータベースにアクセスして位置情報を引き出し、フロアマップ等のフロントエンドアプリケーションで利用します。この方式はクライアントがサーバに情報を要求するPull式となっています。

 Pull式は余分なクエリが発生したり、クライアント数が増えるとサーバの負荷が増す点が難点です。

 一方、サーバ側からクライアントにデータを送り付けるPush式のシステムも存在します。今回、『TPC_IPS』の位置測位エンジン(TCOT)で算出した位置情報をUDPでネットワークにブロードキャストし、クライアントのフロアマップを自動更新する処理を実装してみました。


 サーバとクライアント間のモジュール構成を図示したのが以下です。

 サーバには tcot_sender.py というプログラムが常駐していて、これがTCOTを呼び出して位置情報を取得、これを python socket によりUDPでブロードキャストします。

 一方、クライアント上ではtcot_receiver.pyが上記のUDPを待ち受けしていて、UDP データを受信するとデータ加工などの必要な処理を行います。

 フロントエンドアプリケーションの『QuickIPS』はフロアマップ上にビーコンの最新の位置を表示しますが、QuickIPS は FileMakerで開発されており、FileMaker自身にはソケット通信の機能がないため、tcot_receiver.py から直接データを取得することはできません。

 そこで tcot_receiver.py と QuickIPS 間でソケット通信を可能にするため tcot_listener.html というファイルを用意し、フロアマップのレイアウトにWebビューア*を配置してこのhtmlファイルを埋め込みます。tcot_listener.html は WebSocket を作成すると共に addEventListener を使用してtcot_receiver.pyからの受信を待ち受けます。 受信を感知すると PerformScript()によりFileMakerのスクリプトを実行して QuickIPS のフロアマップを更新します。

*WebビューワはFileMaker Pro のレイアウトに Web ページを直接表示する機能。

 この仕組みは FileMaker だけではなく、一般的なWebアプリケーションでも利用可能です。

 以下、今回実装した UDP Push式の長短をまとめてみました。 

UDP Push方式のメリット

  • TCP 通信に比べ、データ転送速度が速い
  • サーバ負荷の低減 特にユーザ数が多い場合
  • システム構成の柔軟性
  • リアルタイム性(オーバーヘッドが少ないため、クライアントアプリの実行速度の向上)

UDP Push 方式のデメリット

  • TCP 通信に比べると送信データが保証されないため、データの欠損(パケットロス)が生じることがある。
  • UDP通信の接続確認およびデータ受信確認の処理が面倒

注:
TPC_IPS ver1.0は UDP Push に対応していません。今後のリリースでの対応を予定していますが、仕様は予告なく変更されることがあります。

(亀)

 

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2021-11-18

人・モノの動きをマップ上で可視化するオブジェクトトラッキング

 IPS の一般的な機能の一つに、人・モノの動きを追跡し、可視化する機能(以下、オブジェクトトラッキング)があります。下図は当社製品『TPC_IPS』及び『QuickIPS』で同機能を実行した際のもので、XとY軸に二次元マップを、Z軸には時間を表示しています。青と橙(オレンジ)の線がオブジェクトの時間ごとの位置を示しています。例えば、橙(bcn0-5)は、13:37:58 には、座標(0, 6)にいたことが判ります。
 この3DグラフはPC画面上で回転させることができるため、赤と青が接触あるいは近接したかどうかを視覚的に判断することも可能です。

注:
  • オブジェクトトラッキング機能は2022年4月現在開発中です。『TPC_IPS』及び『QuickIPS』の将来のバージョンに搭載予定です。
  • 仕様は予告なく変更されることがあります。

オブジェクトの移動を時系列と共に3D表示
  

用途

 オブジェクトトラッキングは、人・モノの動きをマップ上に時系列と共に表示する機能で、2Dと3D表示が可能です。 感染症罹患者、店舗利用者、運搬機、従業員等の行動・運動を正確に把握する際に有用です。 

人・モノの移動を2Dマップ上に時刻と共に表示

オブジェクトトラッキングで使用するツール等

 『QuickIPS』で使用するツール、アプリケーションは以下の通りです。

使用ツール用途
Python, matpotlib, 他 2D/3D描画を行う。
pyodbc, ODBC, 他 PythonからSQLクエリをデータベースに対して発行。座標、時間、UUIDなどのオブジェクト属性をデータベースから取得し、matplotlib に渡す。
FileMaker Pro
注:QuickIPS で必要
オブジェクトトラッキングはコマンドラインから実行可。『QuickIPS』では、GUIから Python のコマンドを実行。

仕様

  1. オブジェクトの位地を時系列と共に2D、3D表示
    3Dの場合、Z軸には時刻を取る

  2. 『QuickIPS』のGUI上で以下のパラメータの指定
    パラメータ  用途
    時間指定 トラック(追跡)する期間を12桁のコードで指定
    2D/3D トラック図を2Dにするか3Dするか選択
    プロット場所 トラック図を表示する場所を QuickIPS の Webビューア内か、独立した Python-matplotlib ウインドウ内にするかを選択
    ビーコン ピッカーインタフェイスから複数のビーコンを選択可

    操作方法
    1. QuickIPS ウインドウズの[Time] にオブジェクトトラッキングを行う時間帯を12桁のコード(YYYYMMDDHHMMSS、オブジェクト座標を計測した日時)で指定します。


    2. [Plot in...]では、オブジェクトトラッキングの図を表示するアプリケーションを指定します。「QuickIPS」を指定すると QuickIPSの「Webビューア」に、「Separate window」を指定すると Python-matplotlib のウインドウ内にトラッキング図を表示します。ここでは、「QuickIPS」を選択します。
    3. ピッカーアイコンを使って追跡したいビーコンを選択します。上図では、「bcn2-8」 と 「bcn0-5」 の 2種類のビーコンを選択しています。
    4. トラッキング図を2Dで描画するにはラジオボタンで「2D」を選択し、トラッキングボタンをクリックします。QuickIPSウインドウの「Webビューア」に指定した2つのビーコンの移動経路と時刻を示す図が表示されます。




      上記ステップ2の[Plot in...]で「Separate window」を選択していた場合、下図のように Python-matplotlib のウインドウ内にトラッキング図を表示されます。

      人・モノの移動を2Dマップ上に時刻と共に表示

      このウインドウでは、フロアマップを拡大・縮小することにより、詳細を確認できます。


      3Dオブジェクトトラッキング

      3D でオブジェクトトラッキングを実行するするには、上記ステップ4のラジオボタンで「3D」を選択し、トラッキングボタンをクリックします。この時、[Plot in...]で「QuickIPS」が選択されていると、同ウインドウの 「Webビューア」内にトラッキング図が表示されます。

      Webビューア内の画像はマウス操作不可

      [Plot in...]で「Separate window」が選択されてた状態でトラッキングボタンをクリックすると、 Python-matplotlib のウインドウ内に3Dトラッキング図が表示されます。

       この図はマウス操作あるいはウインドウ内のボタン等を利用し、回転させたり、縮小拡大させることができます。以下の動画ではその様子をご覧いただけます。

※『QuickIPS』及びオブジェクトトラッキング の仕様は今後変更されることがあります。


(亀)


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