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2026-02-10

Quuppa Simulator と QuickIPS による出力データ分析

Quuppa Simulator と出力分析

 Quuppaは IPS/RTLS と呼ばれる屋内位置測位システムであり、本システムにより屋内の多数の人・モノの位置をPC等の端末上で視認あるは追跡することが可能です。

 Quuppa の導入検討時、導入担当者は管理対象となる人・モノの最大数及び位置情報の更新頻度を想定し、Quuppa及びアプリケーションが自社の要求仕様を満たすかどうかをチェックしたいと思うかもしれません。その際に有用なのが Quuppa Positioning Engine (QPE)のSimulator 機能と、当社の QuickIPS for Quuppa QuickIPS)です。この2つのツールにより導入担当者は送信データ件数の確認、負荷テスト等を行う事ができます。

QPE Simulator ができること
 QPE の Simulatiorはタグやロケータ(タグが発する信号を受信するセンサー)が無くても、多数のタグの位置情報データを発生させてアプリケーションに送信します。

QuickIPS Log stream analyzer ができること
  1. UDP Push により送信されるタグの位置情報をlocLogテーブルに自動取込/照会
  2. File Logging により作成される位置情報ファイル(テキスト)をPELogテーブルに手動取込/照会
  3. Estimate、UDP Push と File Logging のデータを比較・分析
  4. Estimate、UDP Push と File Logging のデータのグラフ化
注:
Estimateとは、後述する Simulator 設定に基づき送信されると予測される位置情報件数。

本稿 では、QPEの Simulator の設定方法の一部と、Log stream analyzer (Analyzer)の特徴を説明します。

QPE Simulatiorの設定

Simulator 設定時に注意すべき項目は以下の通りです。

注:
  • Simulation 全般の設定方法については、Quuppa付属のマニュアルを参照してください。
  • 今回当方が使用したQPE用マシンは Intel NUC(Dev-Kit付属機)です。

タグの個数

QSP(Quuppa Site Planner) で使用するタグの個数を指定します。


送信間隔とログ出力

QSP の左ペインで"Output targets"をクリックして「Output Targets」タグをクリック。さらに"Add output targets"をクリックして、図の「Target」ウインドウを開きます。

送信間隔(Interval)

送信間隔を0.1秒~600秒の範囲で指定します。例えば、高速移動するアイスホッケー選手の位置をリアルタイムで計測するようなアプリケーションなら0.1秒のような短い間隔を、老人ホームで入居者の居場所を表示する場合は数秒~のように設定します。

出力方法(Target)

出力方法をテキストログ(File)、UDP、MQTTから選択します。ここでは位置情報をテキストログとして保存するので「File」を選択し、[Folder]にはファイルパスを入力します。
尚、UDP/MQTTを同時に登録し、同時実行することも可能です。

Simulator を開始する

この後、Simulator の起動方法は少し解り難いです。
  1. QPE機のデスクトップ上にある"Start QPE Simulator"アイコンをダブルクリックして実行。さらにQSP(Quuppa Site Planner)の右ペイン「Project」の「Simulator」タグをクリックし、さらに"Start Simulator..."をクリックして Simulatorを起動します。
  2. デスクトップ上の"QPE Web Console"アイコンをダブルクリックしてコンソールを起動します。
  3. 「File Logging」の"Start"をクリックするとSimulatorが出力する位置情報が、上記で指定したファイルパスに保存されます。また、「UDP Push」または「MQTT Publisher」の "Start"をクリックすれば、それぞれの出力が開始されます。
 注:現時点でQuickIPS は UDP Pushに対応していますが、MQTT には対応していません。

QPE用のPC/Serverについて

Simulatorを Start させた後、 Quuppa System Simulator Status ウインドウに「Bad, packets lost...」と出る場合は、QPE 搭載機の仕様が不足している可能性があります。


locLog/PELogテーブル

 上述の UDP Push を実行すると、QuickIPS は 出力された位置情報を内部の locLog テーブルに自動的に書き込むことができます。
 また  QuickIPS はFile Logging により作成された位置情報テキストファイルを "Import"ボタンにより PELog テーブルに取り込むことができます。
 これらのデータを照会するには、Menu画面の"Log"ボタンにより Location Log(logLog)画面または Positioning Engine Log(PE Log)画面を開いてください。
 これらの2つのテーブルは UDP Push または File Logging によって出力された生データを1行ずる照会するときに使用しますが、それらのデータの集計分析する場合は後述の 「QuickIPS Log stream analyzer」を使用してください。

注:
locLog または PELogへのデータ取込の方法は、QuickIPS付属のドキュメントを参照して下さい。

QuickIPS Log stream analyzer 

 QPEはタグの位置情報を大量に出力しますが、その出力の量的チェックを行うのが本機能です。
注:
QPE は Simulator 出力の他に、Tracking出力(実際のタグの位置データ出力)ができます。

 

Analyzerの使用方法

Log stream analyzer 画面の使用方法を説明します。

まず、調査対象とするログの開始時間を[Log time start]に入力。ここに入力した時刻部分(例:10:57:16)が画面左の最上部に表示され、これがタイムテーブルの始点となります。


次に[Log interval(sec.)]にはTime range ログの時間間隔を指定します。この値が開始時刻に加算されて終了時刻になります。開始時刻から終了時刻の間隔を[Time range]と言います。

主要項目の説明

Log stream analyzer の主要な機能は以下の通りです。

区分 項目 説明
Estimate Count Time range 間に出力される見込み*2のデータ件数
例:
10:57:16~10:57:20の4秒の間に、200件のデータが出力される見込み
Cum. Time range の最初から終了迄に出力される 見込み*2の累積データ件数
例:
10:57:16~10:57:32の16秒の間に、累積で800件のデータが出力される見込み
Location Log
(locLog)
Count UDP Push により、各Time range 間に Location Log (locLogテーブル)に登録されたデータ件数
例:
10:57:16~10:57:20の4秒の間に、195件のデータが作成された(EstimateのCountと不一致)
Cum. UDP Push により、Times range の最初から終了迄に Location log (locLogテーブル)に 登録された累積データ件数
例:
10:57:16~10:57:32の16秒の間に、800件のデータが登録された(EstimateのCum.と一致)
Unique UDP Push により、各Timestamp range 間に Location Log (locLogテーブル)に登録されたユニーク*3データ件数
例:
10:57:16~10:57:20の4秒の間に、160件のユニークデータが作成された(これは4秒間に作成されると見込まれた200件のユニークデータ件数よりも40件少ない)
Unique cum. UDP Push により、Time rangeの 最初から終了迄に Location Log (locLogテーブル)に 登録されたユニーク累積データ件数
例:
10:57:16~10:57:28の12秒の間に、200件のユニークデータが登録された(管理対象となる200件のタグを全て検知するのに、12秒を要した)
Positioning Engine log
(PE Log)*1
Count File Logging により、各Time range間に Positioning Engine Log(Simulator_user-prefix_yyyymmdd_hhmmss.log)に記録されたデータ件数。
例:
10:57:16~10:57:20の4秒の間に、195件のデータが登録された(EstimateのCountと不一致)
Cum. File Logging により、Time range の最初から終了迄に Positioning Engine Log(Simulator_user-prefix_yyyymmdd_hhmmss.log)に記録された累積データ件数
例:
10:57:16~10:57:32の16秒の間に、801件のデータが作成された
(EstimateのCum.と不一致)
Unique File Logging により、各Time range 間に Positioning Engine Log(Simulator_user-prefix_yyyymmdd_hhmmss.log)に記録されたデータ件数。
例:
10:57:16~10:57:20の4秒の間に、161件のユニークデータが作成された(これは4秒間に作成されると予測された200件のユニークデータ件数よりも39件少ない)
Unique cum. UDP Push により、Time rangeの 最初から終了迄に Positioning Engine Log(Simulator_user-prefix_yyyymmdd_hhmmss.log)に記録されたユニーク累積データ件数
例:
10:57:16~10:57:28の12秒の間に、200件のユニークデータが登録された(管理対象となる200件のタグを全て検知するのに、12秒を要した)

注:
*1. QuickIPSで本ログを照会するには、"Import"を実行する必要有。
*2.「見込み」は後述の Log annotation に入力された Num. of tags、Interval(sec.) 及び Time range により算出される。
*3. ユニークとは重複がないこと。 例えば、「A,B,C,A,D,B」の元データがある時、ユニークデータは「A,B,C,D」となり、ユニークデータ件数は4件となる。

Log Annotation について

Log Annotation は ユーザが Simulator または QPE のログ作成時の条件を手入力により記録する機能です。 これにより、Log stream analyzer の Estimate の Count と Cum. を算出します。 尚、 Log stream analyzer の記録は、Menu 画面の "Analysis"→"Log Annotations" で照会できます。

Nucky T



2023-09-21

Quuppa用IPSアプリケーション ― QuickIPS for Quuppa

[English version]


 『QuickIPS for Quuppa』はQuuppa Positioning Engine が提供する位置情報を受信し、PC等の端末上にその位置をリアルタイムで表示する FileMaker で開発されたアプリケーションです。

 本稿では当製品に関して説明します。

Quuppaとは?

 Quuppaは屋内の人やモノの位置情報を提供するためのシステムであり、フィンランドQuuppa Oy社の製品です。同製品は Realtime Location System (RTLS) または Indoor Positioning System (IPS) と呼ばれます。 このシステムでは人・モノにタグ(ビーコン)と呼ばれる発信機を取り付けて、タグが発する信号をもとに人・モノの位置を算出します。GPSと似ていますが、衛星電波の届きにくい屋内での使用に特化し、GPSよりも測位精度が高いのが特長です。また、タグはBLEを使用しているため低電力で長期間の運用が可能です。



Quuppaは主としてタグ、ロケーター、測位エンジン(ソフトウェア)で構成されます。

タグ  

QT1-1 tag
人・モノに取り付け、信号を発信する。ビーコンと呼ばれることもある。
ロケーター

Q35 Locator
タグからの信号を受信して位置測位エンジンに送信。
位置測位エンジン(ソフトウェア)

Quuppa Positioning Engine
ロケーター経由で送られてくるタグ情報を受信、各タグの位置情報を算出してアプリケーションに渡す。要サーバ。


QuickIPS for Quuppa

 Quuppaの位置測位エンジンはタグの位置情報をUDP PushやRESTを介してCSV及びJSONの形式で提供しますが、人・モノの位置をマップ上に表示する等のユーザアプリケーションは導入企業が独自に開発することになります。しかし、このアプリケーションの開発には多くの時間と費用が発生します。この開発作業の工数を削減しするのが当社の QuickIPS for Quuppa です。

主な特長

1. IPS アプリケーションを短時間で導入が可能

 QuickIPS for Quuppa(以下、「QuickIPS」)はタグの所在地をマップ上に表示する「フロアマップ」機能を提供します。 導入は簡単で、フロア画像を取り込み座標を合わせる等の初期設定を行えば、すぐにフロアマップ上にタグの所在地を表示できます。

 QuickIPS により、IPSのシステム導入担当者は、プロジェクトの初期段階でエンドユーザが利用するアプリケーションをイメージすることができます。

2. FileMaker によるカスタマイズ

 QuickIPS は FileMaker で作成されており、開発版も提供される予定です。 FileMaker はローコード開発ツールとして定評があり、開発者は FileMaker により QuickIPS をカスタマイズすることにより短期間で高品質のIPSアプリケーションを開発することが可能です。

3. 多様なフロアマップ開発のツール

 QuickIPSは5種類のフロアマップを提供します。開発版を使用してのカスタマイズに際しては、FileMakerの標準機能に加え、JavaScriptライブラリの plotly(無料) や FileMaker PluginであるxmCHART(有償、サードパーティ製) を使用できます。

3-1. Scatterフロアマップ

 FileMakerの散布図グラフを使用して開発されており、機能は限定的ですが、開発は容易です。

3-2. Object フロアマップ

  FileMakerの機能(主にマージフィールドとスクリプト)を使用して開発されており、Scatterフロアマップに比べて高度な開発が可能です。尚、本フロアマップは他のフロアマップとは異なり、導入時のカスタマイズが必須であるため、開発版の購入が必要となります。

3-3. xmCHARTフロアマップ

 FileMakerプラグインのxmCHART(有償)により開発されており、同製品が提供するFileMake用外部関数使用によるフロアマップの開発が可能です。この外部関数の習得には一定の学習が必要となりますが、チャート作成の柔軟性及び拡張性に優れ、様々なチャートの作成にも利用できます。

3-4. Plotlyフロアマップ

 JavaScriptとJavaScriptライブラリのPlotlyを使用して開発されています。開発者はPlotlyのスキルを必要とされますが、チャート作成の柔軟性及び拡張性に優れ、様々なチャートの作成にも利用できます。

3-5. QuickIPSページ(FileMakerクライアントライセンス非依存)

 上述のフロアマップと異なり、FileMakerクライアントライセンスと必要とせず、ブラウザ上にフロアマップを表示します。同ライセンスが不要のため、多数のユーザがいる環境ではコスト的に有利です。

 但し、運用に際してはFileMaker Serverのライセンスが1つ、設定管理用にFileMaker Proのライセンスが1つが必要です。
 また、python、plotly、Flask、waitress などによるWebサーバの構築も必要となります。


3-6. 開発ツール比較表

 フロアマップは以下の5種類のツールを使用して開発されています。

マップ種類
(開発ツール)

導入時開発

開発難度

拡張性  開発に関する補足
1.Scatter

  • FM標準の散布図グラフを利用
  • Objectに比し簡単

2.Object 必須

  • FM標準のマージフィールドとスクリプトを使用しての開発
  • cm単位の座標はmに丸めている
  • FileMakerによる開発経験要
  • 開発には開発版が必要

3.xmCHART

  • xmCHART(別途購入要)を使用
  • xmCHARTの独自言語
  • FMの外部関数による開発
  • ヒートマップ、トラッキング(動線追跡)等の開発が可能

4.plotly

  • plotly(フリーウェア)とJavaScriptとplotlyを使用
  • ヒートマップ、トラッキング(動線追跡)等の開発が可能

5.QuickIPS pages
  • ブラウザ上で実行
  • 他のマップと異なり、端末毎にFileMakerクライアントライセンスを必要としない
  • JavaScriptとplotlyにより開発
  • 他のマップと比較し低機能
  • 開発難度は一番高い(非ローコード)
  • Webサーバ要

3-7. Picker によるタグ選択

 Pickerにより目的のタグを複数選択し、それらだけをフロアマップに表示することができます。
複数のタグを選択可

 尚、QuickIPSページでは本機能を利用できません。

4. オート、マニュアル、ヒストリの3つのモードに対応

 上記3-1~3-4のフロアマップは以下のモードに対応しています。

オート(AUTO):タグの位置をリアルタイムに自動的に表示
マニュアル(MANUAL):ユーザが更新ボタンをクリックすると、その時点のタグの位置情報を表示
ヒストリ(HISTORY):ユーザの指定により、データベースに保存された過去の位置情報を表示

5. 誤差グラフと誤差集計機能

 静止しているタグの座標を予めタグマスタに登録しておくことにより、実際の座標とQuuppaが算出する座標の誤差をグラフ化または集計表示します。算出座標の精度をチェックしながらロケータの配置を決定する時にご利用ください。


6. 多様なプラットフォーム上で利用可能

 QuickIPSの諸機能は各種プラットフォーム上で動作します。

No 機能 FM Pro FM Go WebDirect Browser 備考
1 環境設定(Conf)  
2 フロアマップ調整  
3 AUTO モード  
4 HISTORYモード  
5 MANUALモード  
6 Scatterフロアマップ  
7 Objectフロアマップ  
8 xmCHARTフロアマップ  
9 Plotlyフロアマップ  
10 QuickIPS page  
11 測位誤差集計  
12 測位誤差グラフ  
13 Picker (タグ選択)  

注:

  • 初期設定及びメンテナンスには、FileMaker Proが必要です。
  • WebDirectはFileMakerで作成した機能をWebブラウザ上で利用できるようにする FileMaker Server の機能です。WebDirectを使用するには、FileMaker Server に加え、ユーザ毎にFileMakerのクライアントライセンスが必要となります。


NuckyT