本稿でご紹介の簡太郎君R3.0は、2024年10月1日にリリースされました。
物流の2024年問題と宅配EDIへの対応
当社では2009年にFileMaker 11を使用し、受注・請求・宅配送状発行のシステム(簡太郎君)を開発しました。本システムのお客様は運送会社であり、お客様の取引先である数十の農園や農家に配布され稼働しています。ユーザはフルーツ等の農産物の顧客・受注管理、請求書発行、宅配送状の印刷を簡太郎君を使用して行っています。
さて、運送業界では2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の960時間上限規制が適用され、国内の輸送能力が今後不足する可能性が指摘されています。いわゆる物流の2024年問題(全日本トラック協会サイト)です。同サイトによると、労働時間が削減される一方でトラックドライバは不足しており、「営業用トラックの輸送能力が2024年には14.2%さらに2030年には34.1%不足する可能性がある」と記載されています。
こうした状況で運送業界では、IT技術を使用した業務の効率化(DX)が強く求められており、今回、簡太郎君もEDI対応による業務の効率化を行うこととなりました。
運送EDIシステムの構成
下図がEDI対応バージョンの新簡太郎君のシステム構成図となります。
簡太郎君の各ユーザ(農園等)は顧客からの注文を受注画面で入力し、送状を作成・印刷します。ユーザはその日の出荷作業が終わったら、集約サーバに送信します。集約サーバでは多数の顧客から送信されてくる送状データを蓄積・集約しておき、予め設定した時刻になると送状データをまとめて各運送会社に自動送信します。
集約サーバで一旦データを集約する理由は運送会社の要請によるもので、個々のエンドユーザと契約を締結するのが煩雑で時間がかかるということのほか、エンドユーザのサポートの負担を回避したいということがあると思われます。
簡太郎君のEDI対応
2009年にリリースされた簡太郎君はFileMaker 11で開発及びランタイム化されているため、FileMakerのライセンスは必要とせず、Windows 10/11でも稼働します。
農園等のユーザは顧客から注文を受けると、受注画面で依頼主、送り先、商品などの情報を入力した後、送状を作成します。このとき12桁の送状番号が自動生成されされます。荷物が複数の個口に分かれる場合は、送状を個口分作成します。
“送状印刷”または“印”をクリックすると送状が印刷されます。
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その日一日の発送が終わった時点で、下図の"EDI送信"ボタンを実行して送状データを集約サーバに送信します。
集約サーバ
集約サーバは FileMaker Server 2023 により構成されており、Amazon AWS EC2 上に存在します。 このサーバは多数の顧客から送信されてくるデータを常時受信し、蓄積します。本サーバにはスケジュールが設定されており、設定された時刻になると送状データをまとめて運送会社に送信します。
運送会社によりAPIは異なります。本システムではヤマトについてはcURL、JP(日本郵便)についてはSFTPを使用してサーバから各社のEDIサーバにデータを送信します。
集約サーバで一旦データを集約する理由は運送会社の要請によるものですが、個々のエンドユーザと契約を締結するのが煩雑で時間がかかるということのほか、エンドユーザのサポートが負担になるということがあると思われます。