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2017-06-09

WebDirect 16 ワーカマシン構成による500+スレッド 同時接続テスト


  FileMaker Server 15 の WebDirect (WebDirect 15)では、最大同時接続数は 100、構成サーバは最大2台まででしたが、FileMaker Server 16 の WebDirect (WebDirect 16)では最大同時接続数が500、構成サーバは最大5台までとなりました。

 前稿では Apache JMeter を使用し、WebDirect 16 に対して25セッションでレコードを作成するテストを行いました。結果、旧版 WebDirect に比べパフォーマンスが向上し、エラー(レコードの作成失敗)が発生しないことを確認しました。 WebDirect 16 が実用段階に近づいていることを実感しました。

 今回は前回と同じく JMeter を使用し10~500+ のスレッドからレコードを作成するテストを実施しました。 

WebDirect 16 で 500 同時接続を実現するためのワーカマシン構成

 最初にインストールについて少しだけ触れます。WebDirect 16 では、1台のマスタマシンと 最大4 台迄のワーカマシンを構成できます。インストール自体は、下図のようにマスタマシンかワーカマシンを選択するだけなのでとてもシンプルです。 

マスタマシンかワーカマシンかをインストール時に選択すればよい

 ワーカマシン展開の詳細は、FileMaker 16 WebDirect ガイドの『展開オプション』の項をご覧ください(p20~30) 。以下の抜粋イメージが参考になると思います。


FileMaker® Server16インストールおよび構成ガイド『第 3 章 複数のマシンでの FileMaker Server の展開』(P.22)より

 

サーバ構成

 今回のテストでは、 Hyper-Vを 搭載する2台の物理マシンを用意し、1台に3つの仮想サーバ(ワーカマシン 1~3)、もう1台に2つの仮想サーバ(ワーカーマシン 4 と 5)を入れています。

  • マスタマシン(兼ワーカマシン1):
       CPU: 3.0Ghz
       コア数/メモリ: 4core 8GB RAM(FileMaker社推奨構成)
       Windows Server 2012 R2 (64bit)
  • ワーカマシン2:
       CPU: 3.0Ghz
       コア数/メモリ: 4core 8GB RAM
       Windows Server 2012 R2 (64bit)
  • ワーカマシン3:
       CPU: 3.0Ghz
       コア数/メモリ: 4core 8GB RAM)
       Windows Server 2012 R2(64bit)
  • ワーカマシン4:
       CPU: 2.93Ghz
       コア数/メモリ: 4core 8GB RAM
       Windows Server 2016 (64bit)
  • ワーカマシン5:
       CPU: 2.93Ghz
       コア数/メモリ: 4core 8GB RAM
       Windows Server 2016 (64bit)

WebDirect のロードバランス

 JMeter によるテストに入るまえに、異なる 5 台のクライアントマシンの Web ブラウザから WebDirect 16に同時アクセスし、WebDirect がどのようにロードバランスを行うのか ― どのようにマスタ機が接続をワーカマシンに割り振るのか ― を観察してみました。
 JMeter のような負荷テストツールではなく、実際のブラウザで WebDirect のリアルな動きを確認しておくことは、意味があると思われます。
 結果として、マスタマシン(兼ワーカマシン1)にクライアント接続が割り当てられることはなく、ワーカマシン ワーカマシン2 に 2 接続、ワーカ3、4、5 にそれぞれ 1 接続ずつ割り当てられました。
5台のクライアント PC から WebDirect にアクセスしたときのサーバ割り当て状況

 また、ひとつのWebクライアントが複数の 5つのブラウザタブを開いた状態で、WebDirect にアクセスした場合にも、ワーカマシン2 に  2 接続、ワーカマシン3、4、5 にそれぞれ 1 接続が割り当てられましたが、この時もワーカマシン1 に割り当てられることはありませんでした。
1台のクライアント PC の Web ブラウザで 5 つのタブから同時接続したときのサーバ割り当て状況
 このように、WebDirect は基本的に、接続先のワーカマシンの負荷状態を判断し、より負荷の低いワーカにルートします。
 ※ワーカマシン1(マスタ) はデータベースサーバおよび管理ツールが稼働しており、他のワーカマシンに比べると負荷が高いため、WebDirect 割当先になりにくいと考えられます。もちろん、マスタ1台の構成では、 このマシンがWebDirect の処理も併せて行います。

 

JMeterシナリオ

 JMeter を使用しセッションを10~500+作成、各セッションから FileMaker のスクリプトを実行して出庫伝票(ヘッダレコード1、明細レコード1)するシナリオを作成しました。
 

1 台構成でのテストと結果

 さて、JMeterによるテストを見ていきます。最初にマスタ1台だけの構成で上記のJMeterシナリオを実行してテストを行いました。結果は下表のとおりです。表中、Ramp(秒) はすべてのスレッドを送信し終わるまでの所要秒数を示しています。

 表の見方 を テストNo 4(スレッド=100)を例に説明します。No.4 は、0.5秒間に100のスレッドを作成し、開始から終了までに 6.4 秒かかっていることを示しています。失敗数は作成されなかったレコード数(エラー)で、No.4は 100 すべてのスレッドが成功し、100 件の出庫伝票が作成されました。  尚、各テストは特に記載が無ければ 5 回ずつ実施し、所要時間と失敗数はその平均値をとっています。
【表1】
No ワーカ数 スレッド ループ Ramp
(秒)
 
所要時間(秒) 失敗数 1Recの平均作成時間(秒) 備考
1 1 10 1 0.5 1 0 0.100 
2 1 20 1 0.5 1.2 0 0.060 
3 1 50 1 0.5 3.4 0 0.068 
4 1 100 1 0.5 6.4 0 0.064 
5 1 200 1 0.5 14 0 0.070  2回計測
6 1 300 1 0.5 23 0 0.077  1回計測
7 1 350 1 0.5 19 76 0.054  1回計測
8 1 400 1 0.5 17 142 0.043  1回計測
イタリック(斜体)部分は1回または2回のみテストを実施

  FileMaker社はマスタ1台構成下での最大接続数 を100 としているだけあり、スレッド数 10 ~ 100 は安定して動作しました。
 さらにスレッド数 100超のテストも行いました。 その結果が No.5以降ですが、100 を超過しても同時接続ライセンスがあれば接続を受け付けるしくみになっているようです。
 300 スレッドまでは接続、レコード作成ともに成功しましたが、350を超えるとサーバが高負荷状態となり、接続の失敗が目立つようになっていることがわかります。

マスタマシン 1 台 + ワーカマシン 4 台構成でのテスト

 つづいて FileMaker Server を 5 台構成のテスト展開してテストを実行しました。

【サーバ5台構成のイメージ】
本テストはプレビュー(ETS)版(詳細はTechNet)を使用して行いました

 テスト内容と結果は以下のとおりです。

【表2】
No ワーカ数 スレッド ループ Ramp
(秒)
 
所要時間(秒) 失敗数 1Recの平均作成時間(秒) 備考
50 5 10 1 0.5 4.6 0 0.460 
51 5 20 1 0.5 4.2 0 0.210 
52 5 50 1 0.5 6.2 0 0.124 
53 5 100 1 0.5 13.4 0 0.134 
54 5 100 1 10 11 0 0.110  1回計測
55 5 200 1 未実施
56 5 300 1
57 5 400 1
58 5 500 1 0.5 46 128 0.092  1回計測
59 5 500 1 2 58.5 1.5 0.117  2回計測
60 5 500 1 5 60 0 0.120  1回計測
61 5 500 1 7 49 0 0.098  1回計測
62 5 500 1 10 63 0 0.126  1回計測
63 5 500 1 30 48 0 0.096  1回計測
64 5 500 1 40 48 0 0.096  1回計測
65 5 500 1 7 54 0 0.108 
66 5 600 1 40 59 0 0.098  1回計測
67 5 1000 1 55 98 130 0.098  1回計測
イタリック(斜体)部分は1回または2回のみテストを実施

考察


 以下、今回行ったテストからの考察となります。

高い処理能力

 表1 のテストNo.6 は、1台構成(マスタのみ)環境下で、0.5 秒間に 300 スレッドからクエリを発行し、エラーを出すことなく、23 秒の間に 300 の出庫伝票の作成に成功しています。中規模程度の環境であれば、パフォーマンス的に WebDirect 16 は Webアプリケーション構築の選択肢になると思われます。

適切なワーカマシン数

 表1のテストNo.6 と表2 のテストNo.53 を見てください。他の条件は同じで、ワーカ数が 1 から 5 に増えているにもかかわらず、所要時間はマスタ 1 台の構成のほうが速くなっています。このテストに関しては、おそらくマスタがロードバランスに費やすオーバーヘッドが高いため、ロードバランスを行わない 1 台構成が有利になるものと思われます。

 本テストは短い時間に多くのスレッドから1回のみリクエストを発行するというもので、すべての運用環境に適用できるものではありませんが、単純にワーカマシンを増やせば実行速度が上がるわけではないという可能性を示しています。幸い、ワーカマシンの増設は簡単に行えるので、業務状況やユーザの意見を参考に、ワーカマシンを適時増設していくことも可能と思います。


 ワーカマシンの接続On/Offについて


 ワーカマシンの接続On/Offは、FileMaker Server 16 の Admin Console ページで簡単に行えます。

 下図は、ワーカマシン 2 および 3 の接続を停止したときの様子です。

WebDirect ワーカマシン 2 および 3 の接続を停止したときの様子

  ワーカマシン 2~5 は接続をOn/Offすることのほかに、ゴミ箱アイコンをクリックすることにより、マスタマシンとの接続設定を消去することもできます。
 これに対し、ワーカマシン 1 はマスタサーバ兼用のため、WebDirect ワーカマシンとしての接続停止はできますが、削除はできないようになっています。



短い時間内で大量のクエリが実行された場合のエラー

 上表で赤字の部分は出庫伝票の作成に失敗した件数を示しています。短い時間に多くのクエリが発行されると、エラーが発生しやすくなります。下図は高負荷状態の時に商品画面にアクセスしたのですが、フィールドに < File Missing > が表示されるエラーが発生しました。



 また、サーバが高負荷状態になると、Admin Console が以下のように無応答状態になることがあります。




 さらにアクセスが集中すると、Web サーバ上側でエラー 503 (Service Temporarily Unavailable) が発生し、接続を受け付けなくなることもあります。
 よって、WebDirect の運用を始める前に、最大接続ユーザ数の見積やピーク時の負荷を想定してのテストはやっておくに越したことはありませんね!

ロードバランス

 記事が長くなってまいりましたので、WebDirect 16 のロードバランスについては、別稿を設けたいと思います。



 アプリケーションを高速に開発できる FileMaker。 WebDirect 16 の登場によって Web上の500 ユーザがブラウザから同時接続できるようになりました。 WebDirect は Webアプリケーションの開発において、新たな選択肢を提供する段階に入ったように思います。



 土屋企画では WebDirect の受託開発及び導入支援コンサルティングを請けたまわっております。 WebDirect の導入を検討されているお客様は、こちらよりご相談いただければと思います。



(亀)

2017-05-24

WebDirect は 16 で実用段階に近づくか? ― JMeter による WebDirect 14/15/16 比較

 FileMaker 16 が 2017 年 5 月 10 日にリリースされました。 この新バージョンで小社が注目しているのは

   1.WebDirect 16 の実行速度と安定性の向上
   2.FileMaker  のSQLデータソース用帳票ツールとしての利用

の2点です。今回は上記1について調べてみました。

 FileMaker Server 13 で搭載された WebDirect (WD)は、当初はサークルアイコンが出っ放しになった末に無応答になるなど、導入を躊躇させる機能でしたが、リリースを重ねるごとに安定性が向上しているという感じはします。 そこで、今回は若干の期待をしながら FileMaker Server 16 の WebDirect のパフォーマンステストを行いました。


 前回の WebDirect のパフォーマンスに関する記事は、こちらをご参照ください。


 今回も、前回と同様に Apache JMeter (以下、JMeter)というパフォーマンステストツールを使用し、WebDirect (WD)16 のパフォーマンスを調べました。
 以下にその内容をレポートします。前回の実験で使用した WD14 および WD15 のデータもともに掲載してありますので、WD の採用を検討されている方の参考になれば幸いです。

テスト内容と結果


 今回のテストでは、小社製品「FMEasy在庫 IWP/WD R1.5」を使用し、出庫伝票を作成するスクリプトを作成。JMeter によりこのスクリプトを 25 のセッションで 10 回ずつ実行し、その所要時間を測定するとともに、CPUの占有状態を観察しました。 また、このテストは  WD 16 で行うとともに、サーバのリソース(コア数とメモリ)を増やすことにより、パフォーマンスがどの程度改善するかも測定しました。

仮想サーバ構成


 CPU: 3.0Ghz
 コア数/メモリ: 1core/2GB、2core/4GB、4core/8GB の3パターン
 Windows Server 2012 R2 (64bit)

JMeterシナリオ


 JMeter により、「FMEasy在庫 IWP/WD R1.5」の出庫伝票を1つ作成後にログアウトするスクリプトを以下のシナリオに基づき実行。 

 Threads: 25
 Loops:10
 Ramp-up:1sec
 Pause: 1sec or 1.5 sec


注:
  • WebDirect 14 および WebDirect 15 のテストデータは前回計測時のものを使用しています。
  • Pause を設けずにシナリオを実行すると、ログアウトを待たずに次々にセッションが実行され、最大同時接続数25を超過するエラーが発生して伝票作成に失敗するため、WD15/WD16 では 1 秒、WD14 では 1.5 秒 の Pause 時間を設けました。両者で 0.5 秒の差があるのは、WD14 を 1 秒で設定すると、同様のエラーが多数したためです。
  • シナリオ実行後は出庫伝票が 250 個作成されていることを目視で確認しています。未作成レコードがある場合、その数を下表の「Fails」列に記載しています。

テスト結果と考察

WD 14、WD15 及び WD16 出庫レコード作成時のパフォーマンス(Fails は作成に失敗したレコード数)

 過去の計測では、エラーによりレコードが作成されないことがありましたが、WebDirect 16 では連続アクセスを行ってもエラーの発生はありませんでした

Peformance comparison graph on CPU cores and memory

※総評

 WD16 は WD15 に比し、2%~35%、実行速度が向上しています。サーバリソースの割り当てを増やすと、その差は顕著になります。
1core/2GBでは WD16 と WD15 間で実行速度の差は 2% とほとんど改善は見られませんでしたが、1core/2GB から 2core/4GB に増やすと 24%、 2core/4GB から 4core/8GB に増やすと35%改善しました。 コア数/メモリの割り当てがチューニングのキーとなる可能性があります。
 ただ、前回テスト時と同様に、リソース割り当てを増やすに従って、その改善率は徐々に鈍化するものと推定されます。
 
※ CPUの占有率

 以下の図は JMeter 実行時の CPU 占有率です。 1コアの場合、CPU を使い切ってしまうことが多々ありました。やはり、CPU 占有率が 100%になるような状況は避けたいです。リソースを増やすに従い、CPU の使用率は下がります。



WebDirect 16


1 Core / 2 GB RAM
WD16 のときと同様に、CPU 占有率が 100% に達する状態が続く。しかも長い。よって同時アクセスユーザが集中する可能性のあるサーバは要注意

2 Core / 4GB RAM
WD15 に比しCPU占有率が高くなっているが、その分占有時間は短くなっている


4 Core / 8GB RAM

WD15に比しCPU占有率が高いが、その分占有時間は短くなっている



WebDirect 15


1 Core / 2 GB RAM
CPU 占有率が 100% に達する状態が続く。同時アクセスユーザが集中する可能性のあるサーバは要注意

2 Core / 4GB RAM


4 Core / 8GB RAM



WebDirect 14

1 Core / 2 GB RAM
長時間にわたり高負荷状態が発生。WD15 や WD16 に比べると処理により多くのサーバリソースを消費することがわかる。

2 Core / 4GB RAM


4 Core / 8GB RAM


まとめ

FileMaker Server 13 がリリースされた頃の WebDirect は動作が不安定で、とても実用に耐えないと評価しましたが、今回は25台の仮想マシンから計250のレコードを一斉作成するテストを5回実行しても一度もエラーが発生しませんでした。 WebDirect は運用に耐えうるレベルに達しつつあるというのが今回の実感です。
 また、WebDirect からの PDF 出力も可能となりましたので、 FileMaker Pro クライアントの代わりに WebDirect を導入するという選択肢も視野に入ってきたように思います。

 ただし WebDirect と数多あるブラウザとの互換性の問題は依然存在しますし、ページをリロードすると画面が初期状態に戻ってしまうという現象も依然として発生します。
 また、WebDirect には不向きな処理(例:バッチ処理)を実行した場合に無応答状態になる可能性も解消したとは言い切れません。 WebDirect の設計に当たっては、通常処理とサーバサイドスクリプトに割り当てる処理の切り分けが重要になるかも知れません。
 WebDirect のクリティカルなシステムへの適用は、十分な設計とテストが必要と思います。

補足情報:拡張アクセス権限の変更について

 FileMaker Server 16 の WebDirect 環境で、 URL にスクリプトを指定して実行する場合は、当該のアカウントの拡張アクセス権限で「FileMaker WebDirect によるアクセス(fmwebdirect)」に加え、 「URL による FileMaker スクリプトの実行を許可(fmurlscript)」を有効にする必要があります。


 このオプションが有効になっていないと、実行時に以下のような権限不足エラーが発生します。


 不特定ユーザが使用する環境においては、この辺りのセキュリティに配慮してプログラムしないといけませんね。



(亀)

2016-07-14

FileMaker によるレスポンシブな出庫画面プロトタイプ

 FileMaker をバックエンドに使用したレスポンシブな出庫画面を作ってみました。invoice.php という一つのファイルで PC、タブレット、スマホ(Androidを含む)に対応しています。FileMaker のようにデバイス毎にレイアウトを用意する必要が無いところが良いところです。 いまのところ照会専用(更新不可)です。しばらくの間、下記で公開しますので、興味のある方はお試しください。

レスポンシブな FMEasy在庫 プロトタイプの試用会場へ
(しょっちゅう弄っているのでエラーを起こすことがあります。スミマセン。)
Windows Edge


 以下では本プロトタイプの諸機能を説明します。が、まだ照会部分がおおよそできただけで、動作しないモノが多いです。また、エクストリーム・プログラミング(別名:行き当たりバッタリ開発)っぽく開発しているので、ここに書いてる仕様は無かったことになる可能性もあります><。ご了承ください。


オブジェクトのスライドと伸縮


 以下は iPad Air 2 を横置した場合と縦置した場合です。スクリーンの幅が狭くなると右側にある[伝票番号]などのオブジェクト群が下にスライドします。また、オブジェクトによっては、左右に伸縮します。

iPad Air 2, Safari


表示項目数が変わるアコーディオンメニュー


 同じデバイスでもスクリーン幅に応じて、縦置き、横置きでメニューに表示される項目数が変化します。下図左は Nexus 7 Android 縦置の画面になりますが、同じNexus 7 でも横置にするとメニューの項目数が増えます(図右上)。 上下にスクロールしてもこのメニューは常時表示されますが、メニューの左の青いバーをクリックするとメニューが折り畳まれ(下図右下)、商品情報表示を邪魔しないようにします。青いバーを再度タップすると、メニューは再度表示されます。

Nexus 7, Android

接続手段( API )について


 本プロトタイプには接続手段( API )を選択し、それぞれの実行速度を計測する機能が用意されています。選択できるAPIは以下の通りです。

  1. FileMaker API for PHP
  2. fx.php
  3. FileMaker Server Custom Web Publishing with XML (以降 fm.xml)
  4. PDO(ODBC)

 いずれも、バックエンドは 同一のFileMaker Server  で、アクセスするデータベースは同一の「FMEasy在庫 R1.5」となっています。


API の応答時間


 応答時間は、画面右上端に表示されます。


 
 この時間は、出庫データの問い合わせからページ表示までに要した時間を表しています。


APIの切り替え


 使用中の API 情報は、画面右上で確認できます。
 以下の例では、PDO を使用中で、このページの表示が完了するまでに 0.552 秒かかったことがわかります。




 API を切り替える場合は、メニューボタンエリアの右下端のボタンをクリック(タップ)します。
 すると、API 選択用のドロップダウンメニューが表示されます。メニューを展開させてから、希望の API を選択します。


 たとえば、FM API for PHP (専用)を選択すると、使用中の API が下図のように変更されます。



 API を切り替えてもデータの自動読み込みは行われませんので、 ボタンを実行することによって、新しい API でのデータ読み込みを行ってください。
 尚、表示幅が狭くボタンが表示されない場合は、レコード移動用のボタンや ボタンを実行してください。

注:
上記のドロップダウンメニューで(既存)は「FMEasy在庫 R1.5」の既存のレイアウトを使用し、(専用)はWebアプリに不要な要素を排除し、レイアウトテーマに「クラッシック」を使用したカスタムWebに最適化されたレイアウトを使用しています。



出庫明細部


 出庫明細部(商品情報が繰り返し表示されるエリア)の表示項目は、[項目選択…]から選択することができます。お使いのデバイスのスクリーンに合わせて、表示項目を選択してください。

その他

 ボタンにはチップツールがついているので、PCでマウスポインタを合わせるとそのボタン機能がなんとなくわかりますが、現状、多くのボタンが開発中です><

 左のボタンですが、ヘッダ部にある場合と、取引先や商品に隣接している場合があります。 ヘッダ部にある場合はクリックすると検索画面に移動するので、ユーザが検索条件を入力して実行すると検索結果が一覧表示され、目的のレコードを選択すると元の画面に戻り、選択したレコードが表示される仕様となります。一方、取引先や商品に隣接している場合は一覧表示されて選択するところまでは同様ですが、こちらの場合は選択した取引先(部署)または商品が入力されます(入力支援機能)。このあたりは、FileMaker Pro、インスタントWeb、WebDirect の機能に準じるものになる予定です。 


2016-07-06

FileMaker でレスポンシブなWebアプリを作る

 FileMaker(以下、FM)のデータベースを FileMaker Pro 以外のクライアント ― ブラウザ、iPhone/iPad、Android ― でも運用する場合、開発環境をFMにすべきか、カスタムWeb にすべきかを考えると思いますが、その際に考慮べき事項を比較表にまとめてみました。

×: terrible,  △: limited,  〇: OK,  ◎: Excellent
 
Go
WebDirect
Custom Web
開発費用
(Devlopment cost)
×
ライセンス費用
(License cost)
×
×
サーバ機費用
(Server machine cost)
×
×
ライセンス体系
(License policy)
×
×
開発の容易さ
(Ease of development)
×
コードの再利用性
(Code reusability)
×
×
開発の柔軟性
(Development flexibility)
×
×
レスポンシブ性
(Responsive Web Design)
×
×
Android等非iOS機との互換性
(Android compatibility)
×
スケーラビリティ
(Scalabilty)
×
他DBへの移植
(Migration to other DBs)


この表からは、
圧倒的ではないか、カスタムWebは

という感じですが、FMの世界では「開発費用」と「開発の容易さ」が他の要素を圧倒し、Go やWebDirect が採用されやすいのではないでしょうか。逆に言えば、他の要素が重要なプロジェクトでは、FMは使用されないのです。
 
 とは言いいつつ、 FM のカスタムWeb という需要は少なからずあり、またスマホ普及に伴う Mobile First な要望もあり、小社としてもまたーりとそれらにお応えしたい、と愚考している次第です。
 そんなわけで、『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』(以下、FMEasy在庫)をバックエンドに使用し、 iPhone/iPad だけではなく Android 等の非iOS デバイスにも対応したレスポンシブな Webアプリのプロトタイプ開発にトライしていきたいと思います。

開発環境

使用データベース: FileMaker(fmp12)
使用ライブラリ: jQuery、jQuery Mobile
対応デバイス: PC、タブレット、スマホ(非iOSデバイスを含む)


開発方針・目標

第1フェイズ


以下の方向で、FMEasy在庫の出庫関連機能をWebアプリ化→プロトタイプを作成する。
  1. マルチデバイス対応、RWD(Responsive Web Design)採用
    たとえばこんな感じで……。

    【PC利用時】

    Windows Chrome


    【タブレットPC利用時:縦置き】

    Nexus 7, Android, Chrome --- Portrait


    【タブレットPC利用時:横置き】

    Nexus 7, Android, Chrome --- Landscape


    【スマートフォン利用時】

    FreeTel Priori 3, Android, Chrome

  2. XML/fx.php/FM API for PHP/PDO(ODBC)の比較テストを適時実施
     →最適なAPIを決める(努力をする)
  3. 出庫伝票照会機能作成
  4. 出庫伝票追加・更新機能作成
  5. 出庫伝票検索機能及び一覧表示機能作成
  6. 出庫伝票PDF出力機能作成

第2フェイズ

  1. 第1フェイズで作成した機能をライブラリ化
  2. ライブラリを他のDBへ対応させる(PDOなら簡単なんじゃないかな)

第3フェイズ

  1. 上記ライブラリを使用することにより、お客様にレスポンシブなシステムをリーズナブルな価格で提供する
    \(^_^)/

 いろいろ書いてますが、予定は未定ですw


本ブログの関連記事について

 本ブログで今後公開予定の RWD によるカスタムWeb関連の記事は、カスタムWeb による開発を検討されているお客様に小社で開発したプロトタイプの仕様やテスト結果をご覧いただき、プロジェクト検討の一助になることを目指しています。


ということで、次回はこのプロトタイプの照会機能についてご紹介したいと思います。

(亀)