2008-07-01

FileMaker API for PHP を使ったアンケートフォーム作成 (2/4)

 サンプルデータベースと PHP ソースコードはこちらからダウンロードできます。(本アーカイブは、不定期に差し替えが行われる可能性があります。あらかじめご了承ください。)

 さて、前回の説明ではアンケートページの流れと、流用可能部分の洗い出しを行いました。

 以降、PHP を使って話を進めていきますが、実際にコードを書く前に、まずは日本語で分岐処理を考えてみましょう。この作業がしっかりできれば、あとはそれを PHP の規則に従って置き換えるだけです。このやり方ならあらゆるプログラミング言語にも応用が利くので便利です。

 ページがロードされたときに、最初にしなければならないのは、このページが初回ロード(デフォルトページ)なのか、確認用ページなのか、それともお礼ページなのかを把握することです。そこで前回解説した 3 つのステップが登場するわけです。


 0 -- 初回ロード時(デフォルト)ユーザによるアンケート入力用ページ
 1 -- 確認ページ
2 -- お礼ページ

 ここで注目すべきことは、ユーザが正しい入力を行わなければ、いつまでたってもステップ 1 には進めないということです。今回のアンケートフォームでは、このために[氏名]欄と[email]欄を入力必須としています。この二つの項目正しい入力がなければ、誰が送ったのか後で判断できませんし、メールも送信できなくなってしまいます。また、ゴミデータを増やす原因にもなりますので、最低限[氏名]と[email]には入力をしてもらいたいところです。

 つまり、ステップ 0 ではユーザ入力ページを表示させつつ、正しい入力が行われているかどうかという判断も行います。

 ページがロードされた場合に、[氏名]欄と[email]欄に正しいデータ入力が行われていたときは、必要最低限の情報が揃ったことになりますので、ステップ 1 に進みます。

 さらにページがロードされた場合に、前回のユーザ操作で“確定”ボタンが押されていたことを確認できたときは、ステップ 2 に進んでデータを FileMaker データベースに書き込み、さらにメールを送信して終了します。

 実際にコード記述を行う際には、ステップにプログラム内で管理しやすい固有の名前を付けます。ここでは page_flg としてみます。page_flg が 0 ならステップ 0 というわけです。PHP では変数を取る場合は先頭に $ を付けますので $page_flg という名前になります。

 それではここまでを日本語で表現してみます。見やすさのために、各項目内はインデントを行います。ステップの名前は page_flg となっていますので、覚えておいてください。



   
 上記のように、ページがロードされた直後の処理が最も重要であることがわかりますね。page_flg の番号が特定できれば、あとはそれに応じたフォームを表示するだけです。
 さて、次はこれらの分岐を PHP に置き換えてみます。処理の詳細はまだ記述しませんので、コメント行として日本語で表します。先ほど申し上げたとおり、page_flg は PHP では $page_flg と記述します。



 分岐の方法や入力されたフォームの値($_POST に入っています)の説明は PHP のマニュアルをご覧いただくとして、こうして見てみると、処理の流れが意外と単純であることがわかりますね。ちなみに、Mailck()という名前の付いているものは、入力されたメールアドレスが適切な形式であるかどうかをチェックするために私が用意したユーザ定義関数の名前です。

 この枠組みができれば、あとはページヘッダ、フッタ、そしてフォームの詳細を追加していくだけです。
また、前回の説明にあったように、確認ページとお礼ページのコードは流用できる部分があるため、$page_flg の分岐を以下のように変更します。



 コードがさらにすっきりましたね。

 ここで、サンプルコードをダウンロードして、該当箇所を検索し、コードがどのようになっているかを調べてみてください。
 フォーム内容が記述されているため、PHP に不慣れな方には複雑に見えるとは思いますが、この枠組みが理解できていれば、今回のアンケートフォームの操作は 70% 理解できたと言っても過言ではないでしょう。

●まとめ
 ページ操作の枠組みとその記述方法(日本語、PHP)の理解

2008-06-30

FileMaker API for PHP を使ったアンケートフォーム作成 (1/4)

 本記事は2008年に FileMaker 9 の環境下で執筆されました。2016年11月現在、FileMaker の最新バージョンは 15 となっていますが、15 においても本記事の内容はなお有効と思われます。
 一方Ver 15 では WebDirect と呼ばれる 機能があり、これにより PHP などで Webプログラミングを行うことなく、 FileMaker デスクトップアプリとほぼ同様の操作がブラウザ上でも可能となります。WebDirect は開発が非常に楽になる半面、ライセンス費用やブラウザとの互換性等に問題があります。 したがって、高速開発性(RAD)を重視し、ブラウザ互換性をある程度無視できる環境では WebDirect は FileMaker API for PHP の代替となる可能性があります。

 参考: アンケートシステム・プロトタイプ


ブラウザとの互換性等に問題があります。 したがって、高速開発性(RAD)を重視し。ブラウザ互換性をある程度無視できる環境では WebDirect は FileMaker API for PHP の代替となる可能性があります。
 サンプルデータベースと PHP ソースコードはこちらからダウンロードできます。(本アーカイブは、不定期に差し替えが行われる可能性があります。あらかじめご了承ください。)
 さて、前回の投稿FileMaker Server 9 のインストールを終えましたので、これから数回にわたって FMS9 に装備されている FileMaker API for PHP を使うことによって FileMaker データベースにデータ書き込みを行う方法について説明します。
 ここでは最も手っ取り早く操作を理解することを目標に掲げていますが、今後は機会を見て同操作の Fx.php への展開、MySQL への展開、セッション管理などについても書いていきたいと思っております。

 FileMaker API for PHP は、PHP スクリプトから FileMaker データベースにアクセスすることによって、データベース操作を実現するクラスをまとめた API で、従来の CDML やインスタント Web 公開では機能的に限界のあったデータベース操作がさらに高度で柔軟なものになっています。
 操作にあたってはどうしても HTML と PHP を記述するための知識が必要になるわけですが、今回は理解の最短コースを目指し、最も単純な操作方法をコード付きで紹介します。

 サンプルデータベースと PHP ソースコードはこちらからダウンロードできます。(本アーカイブは、不定期に差し替えが行われる可能性があります。あらかじめご了承ください。)

 こんなページを想像してみましょう。

  1. アンケート入力ページが出てくる。

  2. 上記で正しい入力が行われると、確認ページが出てくる。

  3. 確定ボタンを押すと、入力されたデータが FileMaker データベースに書き込まれるとともに、その内容がメールで投稿者およびサーバ管理者に送信される。


 この動作を実現させたものがこちらのアンケート入力ページです。

入力→確認→データ書込(必要に応じてメール送信)、この三段構えを応用すると、商品申込ページや、住所録作成なども比較的簡単にできるようになります。

さて難しいことは抜きにして、まずは入力ページの部品を見てみましょう。



 ユーザ入力欄は以下の 5 つだけです。

  1. 氏名 -- 入力必須

  2. emailアドレス -- 入力必須

  3. アンケート回答 -- 選択必須。一番上の選択肢が最初に選択されている状態

  4. その他回答入力欄 -- 任意

  5. 要望など入力欄 -- 任意


 HTML による Web ページ作成経験のある方なら、ページ構成は容易に想像できるでしょう。
 PHP では、ある程度ページ部品を使いまわすことができますので、入力、確認、お礼のページで使いまわせそうな部分を抜き出していきます。

 ヘッダ --- 流用可能
 ボディ(本文) --- 一部流用可能
 フッタ --- 流用可能

 ボディが一部流用可能となっている理由は、入力ページではユーザ入力を許可し、確認ページとお礼のページではテキストのみが表示されるという理由で表示動作が異なるためです。それでも確認ページとお礼のページに表示させる内容は使い回せそうですね。

 それではこのアンケートページのブラウザ表示後のソースを見ながら流用できそうな部分にマークを付けてみます。



 図中の赤で囲んだ部分が入力、確認、お礼ページで共通している部分となりますので、PHP コードの中では一度記述すればよいことになります。

 次に、ページ動作の流れを決めます。

  1. 初回ページロード時は入力画面表示。

  2. 必須項目に正しく入力が行われたら、確認ページを表示

  3. 確認ページでユーザが“確定”ボタンを押したら、お礼のページを表示


ページの表示切替を容易に行うため、各ステップを 0 (デフォルト)、1 (確認)、2(お礼)のように決めます。つまり、ステップ 0 では、いくらページをロードしても入力画面が表示され、1 なら確認画面、2 ならお礼の画面という具合です。表示イメージは弊社サーバでテスト公開しているアンケート入力ページで確認していただくことにして、それぞれのステップのフォーム部分のコードを見てみましょう。

【ステップ 0 のソース】


【ステップ 1 のソース】


【ステップ 2 のソース】


ステップ 1 と ステップ 2 を比べてみてください。多少の差異は認められるものの、赤で囲んだ部分が殆んど同じであることがおわかりいただけるでしょう。ということで、この部分も PHP で使いまわすことができます。


●まとめ

  1. アンケート入力→確認→お礼ページの流れを把握

  2. 上記のそれそれのステップに 0, 1, 2 という番号を付ける

  3. ページのヘッダ、フッタ、本文で流用できそうな部分を洗い出す


流用できる部分の洗い出しは、設計段階でとても重要な作業となります。
次回より、上記を踏まえた上で、実際に php を使ってコーディングをしていきます。

2008-06-23

アンチウィルスソフト --- 果てしないセキュリティ

SonicWALL Total Security のようなUTM(統合脅威管理機器)をLAN⇔WAN間に設置すると、ファイアウォール、IPS、アンチウィルス・アンチスパイウェア、コンテンツフィルタリング、暗号化等の機能により、LAN⇔WAN間のすべての通信を管理・監視しネットワークセキュリティを向上させることができます。 では、UTMを配置すればセキュリティは確保できるのでしょうか? 残念ながらそうとは言えません。 ハードディスクのデータをUSBメモリにコピーして持ち出した、機密データを印刷して紛失した、ノートPCを紛失した、サーバ室に許可無く入室した等、セキュリティはシステム管理者だけの問題ではなく、社員など個々人のモラルの問題でもあり、あらゆるリスクを予め想定して対応するのは不可能と言っていでしょう。 

自宅の家の鍵を二重三重にし、窓ガラスも強化ガラスを入れ、セコムを頼み、家人が十分気をつけていたとしても、有能で悪意ある確信犯がいれば、その凶行を防ぐのは至難です。 セキュリティも同様です。 どこまでセキュリティに費用と労力をかけるか、実に悩ましいところですが、システム的にはやはりホスト(PCやサーバ)レベルでのウィルス等のマルウェア対策が必要と思います。 以前にも総論的に書きましたが、数十台を超えるPCのセキュリティを各ユーザのスキルとモラルに委ねるのは危険で、業務的にも効率的とは言えず、なるべく統合的、集中的なセキュリティ管理が望まれます。その統合集中的管理が可能なアンチウィルスソリューションの一つに Panda WebAdmin があります。

Panda WebAdmin のメリット

1. 比較的廉価
2. Windows 2000/2003 Server で利用可(但し、Vistaは未対応)
3. 動作が軽い --- 他のアプリケーションに悪影響を与えない、与えにくい
4. 管理PCからクライアント/サーバを統合集中管理
  • 管理PCから各PC/サーバへPanda WebAdminクライアントを(Push式)インストール
  • 各PC/サーバのウィルス感染状況を表示
  • 各PC/サーバのウィルス定義ファイルの更新状況を表示
  • 外出先のモバイルPCも管理可
【各PCのウィルス定義更新状況を表示するWebAdmin】

5.それなりのウィルス検出精度
6.システムに障害を及ぼす“トンデモ”アップデートがあまり無い

以上