- ESS は、FileMaker Pro ソリューションを、FileMaker Pro のみをベースにしたソリューションの限界を超えてスケールアップできる手段として設計されたものではありません。(ESS is not designed as a means to allow a FileMaker Pro solution to scale beyond the limits of a purely FileMaker Pro based solution.)
とするとこの文は、「FileMaker純正データベースエンジンが実用的には(“論理的”にではない)取り扱うことができない大きなテーブルをSQLデータベースのそれに置き換えても、やはり実用的には取り扱うことはできない」と言っているのだと思われる。 タイトルにある「 FMで大きなSQLテーブルは扱えるのか?」という命題への直接否定のようだ。
直接否定だとすると、FileMakerの理論上、仕様上の限界はデータベース単位で8TBであるが、実用上の“限界”はどのくらいなのだろう? 古い記事だが、「(個人的な意見だがテーブルベースで)100万を超える位なら大丈夫だよ」とある。 小社でも数十フィールドあるFileMakerテーブルに100万~200万弱のレコードを収納して数年間、運用している。 200万レコード程度をFileMakerの“限界”と仮定すると、その“限界”を超えて、と主張するには、レコード件数的には400万レコード以上をテスト時の最大数とすれば十分だろうか。ちなみに、『売上猫くん on MySQL』のテスト環境で、いまのところ一番大きなテーブルのレコード数は約180万件である。
ただレコード件数をいくら増やそうとも、ユーザが強いストレスを感じたり、安定性が無いシステムでは“実用的”とは言えない。 “実用的”と言うには、その1とその2で書いたような問題をできる限り顕在化させてはいけない。問題6の激遅ソートは回避策がないので、ユーザによるカスタムソートの実用性は非常に低い。 その他の問題については、回避策を施したり、 運用で調整する(例えば、.fp7ファイルをサーバ上に置かず、ローカルに置く)ことにより、緩和できるものと判断している。 だが結局、「FileMaker Pro のみをベースにしたソリューションの限界を超えてスケールアップでき」たかどうかというのは、公正なエンドユーザの判断に拠る、としかいいようがない。
(土屋)
注:
「~限界を超えて~」については、上記の英文をキーにググってみたが(その3の参考URLを参照)、2007年当時は否定的な見方が優勢だった。 2008年以降は関連する記事を見つけることができなかった。
関連リンク:『売上猫くん on MySQL』開発日記の記事一覧