2014-11-25

『FMEasy在庫』 のバックエンドを MySQL に変える(1) ― 概要


 『FMEasy在庫 R1.0/R1.5』ではバックエンドに FileMakerデータベースを使用しています。
 本稿では、これを MySQL 5.1或は5.6に置き換える方法の概要を説明すします。なお、本稿は『FMEasy R1.5』に沿って解説を進めていきます。

はじめに

FileMaker によるアプリで、バックエンドを FileMaker から SQLデータベース(ESS、External SQL Source)に置き換えるとき、リレーションシップのウインドウで各TOをFileMakerテーブルからESSテーブルに貼り替えるわけですが、このときリレーション、レイアウト、スクリプトおよびびセキュリティ内のフィールド等が壊れてしまいます(詳細は後述)。
 この場合、壊れた設定をひとつひとつ手動で設定し直さなければならなくなります。実に無意味で苦痛な作業を強いられるわけですが、対策が記されたサイトがみつかりました。

FileMaker, mySQL, and ESS; A Little Known Secret, to Me Anyway

 上記を要約すると、ESSテーブルに貼り替える前に、「FileMakerのテーブルを作成日順でソートし、そのソート順にESSテーブルのフィールドを並び替えた後に、FileMakerのリレーションを張り替えろ」、というもの。
 小社でこの方法をやってみましたが、うまくいきませんでした(やはりフィールドのマッピングが壊れてしまう)。もし上記のリンクの方法で「旨くいったぜ」という方がいれば、一報頂ければ望外の喜びとなります。
 ということで、以下、無意味?で苦痛なバックエンドの変更手順を解説します。

開発環境


小社における開発環境は以下のとおり。


FileMaker Pro 12/13 Advanced
FileMaker Server 12/13 Advanced
MySQL 5.1/5.6
ODBC 5.1/5.2/5.3
MySQL Workbench 5.2/6.2

MySQL5.6で使用するODBCドライバは...
外部 SQL データソースに対してサポートされている ODBC ドライバ


注:
 FileMaker 12/13 による MySQL 5.5 の使用はビューが認識されない等の問題があるため、お勧めしません。

 MySQLの管理ツールはいろいろあります。あえてMySQLコマンドラインを使うならそれも良いですが、他にも以下のようなツールがあります。
で、どれがいいの、という議論は、
Workbench, Navicat, TOAD for MySQL?

 なお、MySQL Workbench 6.2 は 5.1/5.2 に比べるとかなり良くなってる印象です。

データベース及びテーブルを作成する

ツールが決まったらスキーマ(ここでは名称を easyinv15 とする)とテーブルを作成します。このとき、テーブル名とフィールド名は、『FMEasy在庫 R1.0/1.5』のデータ用ファイル EasyData15.fmp12 のテーブル/フィールド名と合致させるようにします。
 なお、計算フィールドについてはMysqlApp.fmp15 のシャドーテーブル(後述)で作成可能ですが、パフォーマンスが劣化するのでなるべく使用しないように設計します。また、グローバルフィールド(グローバル値を持つテキスト/数値/日付/タイムスタンプ/オブジェクトの各フィールド、ここでは計算フィールドを除く)はシャドウテーブル内では作成できないため、グローバルフィールドに関連する処理は再設計が必要となります。特に在庫関連機能の再設計は面倒なので、機会を改めて述べたいと思います。

さて、スキーマ/テーブルの作成が終了したら、右図のようにODBC設定を行います。














 

外部データソースの変更とリレーションキーの再設定

次にFileMaker側。まず、「FMEasy在庫 R1.5」の EasyApp15.fmp12 を複製して適当な名称を付けます(ここでは、MysqlApp.fmp12)。つぎのこのファイルを開きます。[ファイル]メニュー→[管理]→[外部データソース...]を選択し、下図のように設定します(名前は EasyODBC15 とする)。このとき、もともとあったFileMakerのデータソース EasyData15 は削除しておきます。


 つぎに「リレーションシップ」タグを開くと、元の EasyData15.fmp12 のテーブルによるリレーション設定は喪失して下記の図のようになっているので、個々のTOを上記で登録した EasyODBC15 のテーブルに正しく張り直します。
 この際、元の EasyApp15.fmp12のリレーションシップ画面またはその印字物を参考にします。



この時、TO名は元のママになるよう注意します。たとえば、「入出明細_入庫」TOを選択し直すと「入出明細」になってしまうので、張り直す直前にTO名をコピーし、張り直し後に「入出明細」になったらペーストして上書きすると良いでしょう。

 なお、この張り直し後に[テーブル]タブをクリックすると、今選択したMySQLのテーブルがイタリック(斜体)で表示されます。
 これらのテーブルは(MySQLの)シャドウテーブルと呼ばれます。このシャドウテーブル内では計算フィールドを作成することができますが、他のフィールドは作成できません。MySQLテーブルのフィールドを新設/変更/削除するには、MySQLコマンドライン等の他ツールを使用する必要があります。




レイアウトのフィールド張り替え

TOを張り替えてた時点で、レイアウト上のフィールドも誤ってマップされてしまうので、各レイアウトの各フィールドを一つ一つ、張り直す必要があります ― 絶望的に退屈だけど、間違えられない作業ですね。

TO張り替え後、壊れてしまった取引先レイアウト ― 一つ一つレイアウトを開き
不正なフィールドを一つ一つ張り替えていく

スクリプトはStandardのものを開いてコピペ

次はスクリプトです。MysqlApp.fmp12内のスクリプトに設定されているフィールド名もグチャグチャになっているので、元の「FMEasy在庫 IWP/WD R1.5」の正しいスクリプトをコピって、MysqlApp.fmp12側に貼ります。
 具体的には、MysqlApp.fmp12 とともに EasyApp15.fmp12を開き、双方のファイルの「スクリプトの管理」ウインドウを開きます。次に EasyApp15.fmp12 側のスクリプトを開いて中身をすべてコピーし(Cntrl+A → Cntrl+C)、対応する MysqlApp.fmp12 のスクリプトを開きペーストしていきます(Cntrl+A → Deleteキー → Cntrl+V)。

MysqlApp.fmp12 の壊れたスクリプト。フィールドに関するステップが壊れている。
MysqlApp.fmp12側で正しいスクリプトの中身をコピーし、上図でCntrl+A をしてスクリプトの中身を選択、
Deleteキーで削除、Cntrl+V で 正しいモノをペーストし直す。
  これを壊れてしまったすべてのスクリプトに対して繰り返し実行します。

値一覧の修正

値一覧も修正が必要になります。下図で赤枠は壊れてしまったモノです。青枠はMySQLでは数値フィールドに文字列を入力することが許容されないため修正を要するモノで、これらのフィールドがスクリプトに使用されている場合は、数値のみをセットするようにスクリプトも修正する必要があります。



その他


 「FMEasy在庫」では不要ですが、他のシステムではアクセス権限セットやカスタム関数についても修正が必要になる可能性があります。



 以上、やっていて実に虚しくなる作業ではあり、もうすこしスマートな方法があるのではないかと。

 ということで、次回は在庫算出についてご紹介します。
 FileMakerのリレーションを使用して、「FMEasy在庫 R1.0/R1.5」のように、

    前回繰越在庫+SUM(今回入庫数)-SUM(今回出庫数)

 とかやってしまうと、FileMakerバックエンドより時間がずーっとかかってしまうので、方法と、高速なMySQLの実力を発揮できそうな方法の2つをご紹介したいと思います。




(土屋)

2014-11-01

受注・受注残管理モジュールを作る(4) 受注残の算出― FMEasy在庫のカスタマイズ


 本稿では商品毎の受注残、可用在庫等をどのように算出するかを説明します。

在庫情報タブ

商品レイアウト上にタブオブジェクトを配置します。在庫情報タブには在庫及び受注残関連フィールドを配置します。


商品テーブルに追加するフィールド
フィールド名 計算式 解説
繰越受注残 数字 繰越処理実行時に、各商品の[繰越日付]時点の[受注残]を記録。尚、繰越処理は未実装。
受注数 計算(数字) Sum(受発注明細_商品::受注数量) [在庫基準日]までの[受注数]計。[受注数]は受注画面上の[数量]または[受注数]
納品数 計算(数字) Sum(入出明細_商品#納品数::出庫数量) [在庫基準日]までの[納品数]計。[納品数]は受注画面上の“出庫移行”ボタンにより出庫登録された商品の数
受注残 計算(数字) Case(IsEmpty(繰越情報::繰越日付) or  g在庫基準日1 < 繰越情報::繰越日付;0; 繰越受注残)
-納品数+受注数
[在庫基準日]の受注残(受注はしたが納品していない商品の数)
可用在庫 計算(数字) 在庫数-受注残 販売先(用途)が決まっていない自由に使用できる商品の数
gcKey1 計算(数字) 1(常に1) 入出明細レコードが受注明細と紐付されているかチェックするためのシステムフィールド。


リレーション


 上図の入出明細_商品#納品数で「gKey1≦受注明細ID」が「真」であれば、その入出明細レコード(出庫した商品)は“出庫移行”ボタンにより受注画面から出庫登録されたことになります。
 逆に「gKey1≦受注明細ID」が偽であれば、その入出明細レコードに対する受注登録がないことになります。

在庫情報の変化

 さて、右図上の在庫状況において、受注画面上で[商品ID]=1の商品明細の[移行数]に「10」を入力し“出庫移行”ボタンを実行する(右図中)と、在庫情報は右図下のように変化します。

 つまり、10 個の商品を出庫登録したのだから、[納品数]は10増えて「11」となり、[受注残]はその分減って「1」となります。

 このとき[出庫数]も 10 増えて「49」に、[在庫数]はその分減って「42」となります。






















以上


(土屋)

2014-10-23

受注・受注残管理モジュールを作る(3)受注残タブの実装― FMEasy在庫のカスタマイズ


 本稿では受注管理モジュールを作成します。受注レイアウトには受注品目入力用の「受注」タブと、受注残管理用の「受注残」タブを配置します。


仕上がりイメージ

受注残関連仕様

下表は上図の受注残関連オブジェクトの仕様になります。
オブジェクト タイプ 説明
伝票区分 数値FD レコード確定時、1:全残(納品した商品無)、2:残有(受注残の商品有)、3:過納(過剰納品した商品有)、4:完納(受注した商品を全て納品)の何れかの値がセットされる。
OnRecordCommitを使用しスクリプトを起動。尚、本フィールドを計算フィールドにすることもできるが、索引が設定できずレコードが増えるに従い検索速度が劣化してしまう。
Id 数値FD
(主キー)
「受発注明細」テーブルの主キー。“出庫移行”ボタン実行時、このキーの値を移行先のテーブルである「入出明細」テーブルの[受注明細ID]に貼り付け、納品数算出用のTO(入出明細_受注#注残)の外部キーとして使用。下表及び下のリレーション図参照。
受注数 数値 =受注タブの[数量]
納品数 計算FD(数値) 当該商品の出庫への移行数合計、下表及び下のリレーション図参照。
受注残 計算FD(数値) 受注数-納品数、本値が0以外(受注残がある)の場合、本フィールドの背面が赤くなるように条件書式を設定すと、受注残がある商品が一目で解る。
移行数 数値FD 当該商品を出庫移行する数量をユーザが指定する。
ボタン 上記[受注残]を[移行数]に貼りつける。
出庫移行 ボタン 各商品を[移行数]分、出庫へ移行・登録する。
FD:フィールド


EasyData15.fmp12 のテーブル定義

名称 タイプ 補足
■受注テーブ
伝票区分 数値 上表参照
■受発注明細テーブル
ID 数値(主キー) 上表参照
納品計 計算(数値) Sum(入出明細_受注#注残::出庫数量)、上表及び下表参照
受注残 計算(数値) 上表参照
移行数 数値 上表参照
■入出明細テーブル
受注明細ID 数値(外部キー) 上表及び下表参照

EasyData15.fmp のリレーション

受発注明細テーブルに、[納品数]=Sum(入出明細_受注#注残::出庫数量)、を作成

EasyApp15.fmpの出庫移行ボタンのスクリプト

出庫移行ボタンは[移行数]で指定した数量分の商品を出庫に移行します ― つまり、受注画面で入力されたデータの一部を出庫(出庫/入出明細テーブル)にコピーします。ポータルを含むデータを他のテーブルにコピーする場合、1.元のデータを一旦変数に格納して変数をコピー先のテーブルに貼りつける方法と、2.元のデータを格納するテーブルからコピー先のテーブルへ取り込む方法、の2つがありますが、後者の方が高速になります。

 以下は後者の方法を用いたスクリプト例です。
(当スクリプトは検証不十分です。利用は自己責任でお願いします。 m( _ _ )m




#
#事前チェック
#
スクリプト実行 [ 「gブラウズ以外実行不可-IwpWD」 ]
スクリプト実行 [ 「gレコード無CK-IwpWD」 ]
スクリプト実行 [ 「gレコード確定強制-IwpWD」 ]
#
#受注ヘッダ情報をUIのグローバルフィールドにセット(後でUIを取り込み、出庫ヘッダを作成する前処理)
#
フィールド設定 [ UI::gCompId; 受注::得意先ID ]
フィールド設定 [ UI::gDeptId; 受注::請求部署ID ]
フィールド設定 [ UI::gPicId; 受注::担当ID ]
フィールド設定 [ UI::gTaxRate; 受注::消費税率 ]
フィールド設定 [ UI::gDate; Get(日付) ]
変数を設定 [ $oriWinName; 値:Get ( ウインドウ名 ) //スクリプトの最後でこのウインドウに戻る為、記憶する ]
#
#移行する受注明細を抽出
#
関連レコードへ移動 [ テーブル: 「受発注明細_受注」; 使用するレイアウト: 「受注明細#取込」 (受発注明細_受注) ] [ 関連レコードのみを表示; 新規ウインドウ ]
変数を設定 [ $orderNo; 値:受注::受注No ]
検索実行 [ 指定された検索条件: レコードの検索; 条件: 受発注明細_受注::受注No: 「$orderNo」 AND 受発注明細_受注::移行数量: 「>-9999999999」 ] [ 記憶する ]
#
#UI→出庫取込
#

関連レコードへ移動 [ テーブル: 「出庫」; 使用するレイアウト: 「出庫」 (出庫) ] [ 関連レコードのみを表示 ]
レコードのインポート [ ソース: 「file:EasyApp15_p」; ターゲット: 「出庫」; 方法: 追加; 文字セット: 「シフト JIS」; フィールドデータのインポート順: ソースフィールド 37 のインポート 出庫::得意先ID ソースフィールド 38 のインポート 出庫::請求部署ID ソースフィールド 39 のインポート 出庫::担当ID ソースフィールド 40 のインポート 出庫::消費税率 ソースフィールド 41 のインポート 出庫::出庫日 ] [ ダイアログなし ]
変数を設定 [ $shipNo; 値:出庫::出庫No ]
#
#受注明細→出庫明細を取込
#
レイアウト切り替え [ 「出庫伝票」 (入出明細_出庫) ]
レコードのインポート [ ソース: 「file:EasyApp15_p」; ターゲット: 「入出明細_出庫」; 方法: 追加; 文字セット: 「シフト JIS」; フィールドデータのインポート順: ソースフィールド 2 のインポート 入出明細_出庫::商品ID ソースフィールド 3 のインポート 入出明細_出庫::販売単価 ソースフィールド 13 のインポート 入出明細_出庫::備考 ソースフィールド 14 のインポート 入出明細_出庫::単位 ソースフィールド 15 のインポート 入出明細_出庫::受注明細ID ソースフィールド 20 のインポート 入出明細_出庫::出庫数量 ] [ ダイアログなし ]
フィールド内容の全置換 [ 入出明細_出庫::出庫No; 計算で置き換える: $shipNo ] [ ダイアログなし ]
フィールド内容の全置換 [ 入出明細_出庫::入出庫日; 計算で置き換える: Get(日付) ] [ ダイアログなし ]
関連レコードへ移動 [ テーブル: 「出庫」; 使用するレイアウト: 「出庫」 (出庫) ] [ 関連レコードのみを表示 ]
ウインドウの調整 [ 収まるようにサイズ変更 ]
ウインドウを選択 [ 名前: $oriWinName; 現在のファイル ]
フィールドへ移動 [ 受発注明細_受注::移行数量 ]
#
#移行数FDはクリアしておく
#
Loop
  Exit Loop If [ 受発注明細_受注::Id = "" ]
  フィールド設定 [ 受発注明細_受注::移行数量; "" ]
  ポータル内の行へ移動 [ 次の; 最後まできたら終了 ]
End Loop
レコード/検索条件確定 [ ダイアログなし ]


以上


(土屋)

2014-10-08

iPad のバーコードスキャンで入庫伝票を作成 ― FMEasy在庫のカスタマイズ

FileMaker Go 13 を使ったバーコード読み取り機能について

 FileMaker Go 13 にはバーコード読み取り機能が付属しています。
 専用のバーコードリーダーをお持ちであれば、もともとデスクトップからバーコード入力できますが、バーコードリーダーをお持ちでなくても、iPhone や iPad のカメラ機能でバーコードを読み取れるようになったのは嬉しいですね。



 外回りが多い営業さんや、倉庫管理をする際にも、モバイル操作でバーコード読み取りができれば、適用範囲も広がりそうです。

 今回は、弊社製品『FMEasy在庫』をカスタマイズすることによって、iPad から商品バーコード(JAN)を読み取りながら、入庫登録ができるようにする方法をご紹介します。


【開発レベル】
中級(レイアウト修正、テーブル修正、スクリプト修正について理解している)

【用意するもの】
1. 『FMEasy在庫 R1.0』または『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』
『FMEasy在庫』はこちらからダウンロードできます。
2. iPad/iPad Mini
3. FileMaker Go 13 (iPad にインストール)
FileMaker Go 13 はこちらからダウンロードできます。


注意:
1. 作業を始めるまえに、必ず『FMEasy在庫』のバックアップをお取りください。
バックアップのしかたはこちらを参照
2. 作業の際、修正場所を間違えると、既存の機能が動作しなくなる可能性があります。細心の注意を払い、ご自身の責任で行ってください。

『FMEasy在庫』に JAN 読み取り機能を追加する

 今回は、『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』を使って説明を進めていきますが、『FMEasy在庫 R1.0』開発版をご利用の方も、操作は同様となります。

1. 商品レイアウトに [JAN] フィールドを配置

 『FMEasy 在庫』には、[JAN] という名前の予備フィールドがあらかじめ用意されていますので、FileMaker Pro 12/13 を起動して開発者パスワードで EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 を開き、下図のように、お好みの位置に [JAN] フィールドを配置してください。



2. iPad からのJAN コード読み取り機能を商品レイアウトに追加


 iPad からから上図の[JAN]フィールドをタップしたときに、バーコード読み取り機能が走るようにします。

 スクリプトエディタを開き、「デバイスから挿入」スクリプトステップを使って[JAN]フィールドにバーコードが挿入されるように指定します。




 このとき、FileMaker Go で [JAN] フィールドをタップしたときのみ、このスクリプトが実行されるようにしますので、一行目の If 文に PatternCount(Get ( アプリケーションバージョン ); "Go") が指定されているところに注目してください。

 バーコードの読み取りが終わったら、次のフィールドに移動するように設計しておくと、システム運用時に使いやすくなるでしょう。

 これをスクリプトトリガとして、商品画面の [JAN] フィールドに設定します。
 イベント発生のタイミングは、OnObjectEnter (タップ時)になります。



 ここまでできたらレイアウトを保存します。

 FileMaker Go 13 で商品レコードにアクセスし、[JAN] フィールドをタップするとカメラに切り替わりますので、JAN のバーコードを読み取ると、JAN コードが登録されます。



 同じ要領で、JAN コードを商品マスタに登録していきましょう。



3. 入出明細テーブルに [JAN] フィールドを追加

 EasyData15.fmp12/EasyData.fmp12 のフィールド定義を開き、入出明細テーブルに [JAN] フィールドをテキスト型で追加します。



4. 入出明細の [JAN] から商品マスタの [商品ID]を呼び出すためのリレーションを追加

 EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 のリレーション定義を開き、「入庫レイアウト TOG」のセクションに下図のようにリレーションを追加します。

 入庫_商品#JAN TO の参照テーブルは商品テーブルです。
 商品と入出明細の [JAN] を関連づけます。



5. iPad 用の入庫管理レイアウトを作る

 EasyApp15.fmp12/EasyApp.fmp12 のレイアウトモードで新規レイアウトを作成します。
 FileMaker Pro 13 では、下図のように視覚的にレイアウトを作成できます。

 このとき、表示するレコードは「入庫」、レイアウト名は ipad 用の入庫画面とわかる名前を指定しておきます。

 また、ここでは縦置きを前提にしたレイアウト選択を行っていますが、運用時に縦置きと横置きとでどちらが使い勝手が良くなるかを事前によく検討しておくと、後々のレイアウト調整の手間が省けます。



 レイアウトのテーマや体裁はお好みで結構ですが、明細部分に [入出明細_入庫::JAN] フィールドを配置するのを忘れないようにしてください。

 たとえば、できあがったレイアウトを FileMaker Go 13 で閲覧してみると、以下のようになります。


 上図のように、[商品ID]と[JAN]フィールドは両方配置してください。

6. [JAN] のバーコード読み取りスクリプトを作り、OnObjectEnter のスクリプトトリガとして動作させる

 前述「2. iPad からのJAN コード読み取り機能を商品レイアウトに追加」と同じ操作になりますので、ここでは説明を省略します。
 
7. [商品ID]/[JAN] 相互呼び出しのスクリプトトリガを追加する

 iPad入庫画面で、[商品ID] を入力したら [JAN] を自動的に呼び出し、また[JAN]を入力したら [商品ID]を自動的に呼び出すようにスクリプトを作成します。

 『FMEasy在庫』のような分離モデルを採用したシステムの場合、レコード未確定状態ではフィールド定義のルックアップが正常に動作しないことがありますので、このスクリプトを考慮されるとよいでしょう。

備考: [仕入単価]、[単位]の呼び出しも用意しておくとより確実でしょう。



 スクリプトができたら、iPad入庫画面の [商品ID] と [JAN] のそれぞれに、OnObjectSave のタイミングでスクリプトトリガを設定します。



 これで準備が整いました。


 以降はデモビデオで実際の操作感をご覧ください。

『FMEasy在庫』に iPad から入庫登録をするデモ動画

商品を仕入れたという前提で、iPad入庫画面で商品のバーコードを読み取って JAN コードを入力しているところです。

 

 JAN コードの入力のタイミングで、[商品ID] が自動入力されます。
[数量]を入力すると、制御が次の行に移ることによって[JAN] 読み取りのスタンバイ状態になりますので、連続的な操作でバーコード読み取りができます。


 実際にやってみてわかったことですが、カメラ機能のフォーカスを合せるのに少々コツがいります。
 今回は手ブレ対策として、このように鉄アレイで本体を固定してバーコード読み取りをしました。



補足:
 このような iPad スタンドを使ってみると作業しやすくなるかもしれません。
 鉄アレイに比べれば見た目もグーーーンとおシャレですし、何と言っても角度を変えられますから^^。



※『FMEasy在庫』をカスタマイズするには、開発版が必要となります。


参考記事:
FileMaker Go による iPad/iPhone 向けソリューションの開発ヒント集


『FMEasy在庫』カスタマイズ関連記事:
受注・受注残管理モジュールを作る ― FMEasy在庫のカスタマイズ (1)
受注・受注残管理モジュールを作る ― FMEasy在庫のカスタマイズ (2)



2014-10-07

土屋企画のソフトウェア販売サイトのご案内

 本稿土屋企画の製品購入サイトの説明となります。購入サイトをご利用いただくには、こちらをクリックして以下のページを表示します。


注:
本システムは FileMakerインスタントWeb(IWP)と SQL Server 2000 により開発・運用されています。


1. 新規購入と登録ユーザによる購入

上図のページで新規のお客様は“新規購入”ボタンをクリックしてください(以下、「2-A 新規購入」参照)。土屋企画製品の登録ユーザの方は“ログイン”ボタンをクリックし、次の画面で[アカウント名]と[パスワード]を入力して“ログイン”をクリックします(以下、「2-B 登録ユーザによる購入」参照)。

2-A. 新規購入

“新規購入”ボタンをクリックすると、下記のページが表示されます。

  1. まず「お客様情報」欄の各項目に必要な情報を入力してください。*が付いている項目は入力が必須です。
  2. 次に希望の商品を「買い物カゴ」タブに入れます。[新規購入]タブ内の商品の右端にある“カゴへ”をクリックすると、その商品が「買い物カゴ」タブ内に表示されます(以下、「3.買い物カゴ」参照)。

    注:
    [製品名]をクリックすると、製品の案内ページが表示されます。

2-B. 登録ユーザによる購入

ログインに成功する以下のページが表示されます。ウインドウ右上部にある“製品購入申込”ボタンをクリックします。

「購入/アップグレード ― 入力」のページに、お客様の情報が入力された状態で表示されます。
必要に応じて「お客様情報」欄の項目を変更してください。 本システムにログインするときに必要となる[アカウント名]および[パスワード]もこちらのページで変更が可能です。

本ページ下部には4つのタブがあります。
タブ 説明
アップグレード アップグレード可能な製品がある場合、表示される
新規購入 新規購入可能な製品が表示される
お得意様優待 優待販売がある場合、表示される
買い物カゴ 他の3つのタブ上にある“カゴへ”ボタンで選択された製品が表示される


■アップグレードタブ

[対象ライセンス]が複数ある場合、つまりアップグレード可能なライセンスが複数ある場合、
目的のライセンスをクリックして選択すると、右にアップグレード可能な製品が表示される

アップグレード可能な製品がある場合は、「アップグレード」タブ内にその製品が表示されます。アップグレードする製品の右にある“カゴへ”をクリックすると、その商品が「買い物カゴ」タブ内に表示されます(以下、「3.買い物カゴ」参照)。

注:
[対象ライセンス]が複数行ある場合、アップグレードするライセンスをクリックして選択してください。選択したライセンスに対するアップグレード可能な製品が右側に表示されます。

■新規購入タブ
上記「2-A 新規購入」参照。

■お得意様優待タブ
お得意様を対象とした優待販売製品が表示されます。製品の右にある“カゴへ”をクリックすると、その製品が「買い物カゴ」タブ内に表示されます(以下、「3.買い物カゴ」参照)。
注:
優待販売は期間限定の為、本タブには何も表示されないことがあります。

3. 買い物カゴ

上述の各タブにある“カゴへ”ボタンをクリックすると、その製品が[買い物カゴ]タブ内に移動します。他にも購入する製品がある場合は、適切なタブをクリックして購入する製品の“カゴへ”ボタンをクリックして、その製品を[買い物カゴ]タブへ移動します。購入する製品を登録し終えたら、“確認画面へ”ボタンをクリックします。 


項目説明

項目 説明 補足
クリックすると数量が1増す アップグレード製品の場合、本ボタンは動作せず
クリックすると数量が1減る アップグレード製品の場合、本ボタンは動作せず
× 製品を買い物カゴから削除する
確認画面へ 確認画面へ移動

4. ご注文確認ページ

 本ページで注文内容をご確認頂き、修正が必要であれば“前画面へ戻る”を、修正が不要であれば“注文を確定する”をクリックしてください。 “注文を確定する”をクリックすると、注文完了ページが表示されます。



5. 注文完了ページ

注文が完了しました。お客様には注文の確認のメールが自動送信されます。



以上



【IWP関連記事】

【IWP関連の製品・サービス】



2014-10-02

土屋企画のCRM(ユーザサポート)サイトのご案内

TPC ― Customers Relationship & Support サイト は、土屋企画の製品・サービスをご利用のお客様に、製品・サービスの購入履歴情報、サポート履歴情報、お得意様限定のサービスやファイルダウンロードを提供するために設けられました。

注:
本システムは FileMakerインスタントWeb(IWP)と SQL Server 2000 により開発・運用されています。 


ご利用に際しては、こちらから“ログイン”ボタンをクリックしてください。

主な機能は以下の通りです。


B-1 購入履歴タブ

お客様の製品・サービスの購入履歴と、付属のサポートのインシデント情報が照会できます。



項目説明
項目 説明 補足
ご購入日 製品またはサービスの購入日 この日付がサポート開始日となります。
サポート期限 サポートの終了日
Inc/単位 製品付属のインシデントまたはサポートを受けられる時間と、その単位
  • 上図Aでは、240分(4時間)のコンサルティングを受けることができます。
  • 上図Bの 「売上猫くん」の[Inc]は空欄ですが、この場合、期限前であれば原則として回数/時間による制限無く、メールにより質問をして頂けます。
  • 上図Cの「FMEasy在庫 R1.0 開発版」は、ご購入から365日間、2件までメールにより質問をして頂けます。
前繰越 前月の未消化時間の繰越分 現在、繰越はコンサルティングのオプションでのみ有効です。
消費計 消費した[Inc]
[Inc]の残
翌繰越 翌月へ繰り越す未消化時間
有効 サポートの有効/無効を表示


B-2 サポート履歴タブ

過去に受けたサポート/コンサルティングの履歴を照会できます。 [消費Inc]はサポート/コンサルティングで消費したインシデント数または時間が表示されます。



B-3 特典タブ

個々のお客様限定の特典または製品付属の特典(ファイルダウンロードやサービスへのアクセス)をご利用になれます。 
 2014年10月現在、土屋企画の製品・サービスをご購入頂いたすべてのお客様は、『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』のインスタントWeb及びWebDirectの体験サイトをご利用頂けます。

以上 


【IWP関連記事】

【IWP関連の製品・サービス】



2014-08-18

FileMaker Go による iPad/iPhone 向けソリューションの開発ヒント集

 FileMaker Pro で開発したソリューションは、ほぼそのまま FileMaker Go ソリューションとして iPhone や iPad で使用できます。
 今回は、今後 FileMaker Go 向けのデータベース開発を検討している方向けに、FileMaker Go の特徴と効率のよい開発方法のまとめ的なものを作成してみました。

 FileMaker Go 自体は App Store から無料でダウンロードして iOS デバイスにインストールできます。


FileMaker Go 12/13/14 機能比較

 最新リリースから順にご紹介します。

FileMaker Go 14

無料ダウンロード: FileMaker Go 13


重要:接続について

 FileMaker Server 14 でホストされるデータベースに FileMaker Go からアクセスする場合、デフォルトでは 1 接続、FileMaker Pro 14 Advanced に FileMaker Go からアクセスする場合は、デフォルトでは 5 接続までがサポートされています。

 接続人数を増やす場合は、"同時接続"の購入が必要となります。

 同時接続とは(PDF)


FileMaker Go 14 で利用できるようになった機能

FileMaker Go 14 の公式紹介ビデオを見ながら確認するとわかりやすいです。
 以下、タイムスタンプのあるものは、この動画のタイムスタンプを表しています。



1. 0:09 新しいユーザインタフェース

 iOS8 スタイルにデザインを一新。
 ソリューションのフルスクリーンで表示、FileMaker Go のメニューバーなども非表示にすることもできる。
 頻繁に利用する操作は左右のアイコンに整理されるのでスクリーンを有効活用できる。


2. 起動センター

 ソリューションを視覚的に整理。
 ソリューションのアイコンを割り当てることができ、カスタムアイコンも追加できる。
 起動スクリーンに固定することもできる。




3. 8:50 バーコードの挿入

 スクリプト不要でバーコード読み取りを行える。
 

4. リッチテキストの編集

 テキストのサイズ、色、フォントを選択したり、太字、下線、イタリックが指定可能。


5. 2:41 画面方向の設定

 デバイスの縦置き、横置きのときにスクリーンの動作をスクリプトで定義できる。

 
6. 2:52 署名キャプチャの機能強化

 レイアウトのボタン指定時、単一ステップで署名取り込みができるようになっている。
 ボタン操作時にプロンプトメッセージを表示させることもできる。


7. 3:09 ビデオとオーディオの再生コントロール

 ビデオをオブジェクトフィールドでもフルスクリーンでも再生可能。
 ビデオの再生中でもレイアウトを操作可能。
 新しいスクリプトで、ビデオまたはオーディオの再生を開始および停止するポイントを自動化できる。


8. 7:32 タッチキーボードの有効化

 オンスクリーンキーボードの表示/非表示をスクリプトで制御。
 
9. 垂直スクロールバー

 スクロールバーはフィールドでスクロールするときにだけ表示される。


FileMaker Server 14 と FileMaker Go13/14 のハイブリット運用時の注意点

 FileMaker Go 13/14、および FileMaker Server 14 のハイブリッド環境でデータベースを運用したい場合は、接続制限や機能制限に十分お気をつけください。
こちらの資料が参考になります。

FileMaker Server 14 ホストとクライアントの互換性チャート(英語)


重要: FileMaker Go 12 を使って FileMaker Server 14 でホストされているデータベースにアクセスすることはできません。




FileMaker Go 13

無料ダウンロード: FileMaker Go 13

※ 2015 年 5 月 13 日に FileMaker 14 が発売されたことにより、FileMaker Go 13 の提供は近いうちに終了する予定です。
Filemaker Go 13 が必要な方はお急ぎください。


重要:接続について

 FileMaker Pro 12/13 をホストにして、FileMaker Go からアクセスする場合、最大 5 接続までをサポートしています。
 FileMaker Server 13 でホストされるデータベースに FileMaker Go からアクセスする場合、デフォルトでは 1 接続、FileMaker Server 13 に FileMaker Go からアクセスする場合は、デフォルトでは 5 接続までがサポートされています。

 接続人数を増やす場合は、"同時接続"の購入が必要となります。

 同時接続とは(PDF)


 後述の、「FileMaker Server 13 と FileMaker Go12/13 のハイブリット運用時の注意点」のセクションも併せてご覧ください。


FileMaker Go 13 で利用できるようになった機能

1. スワイプによるレコード移動(スワイプジェスチャー)

 指1本のスワイプジェスチャー --- スライドコントロールでパネルを変更
 指2本のスワイプジェスチャー --- レコードを変更

 ジェスチャー動作中はアニメーションが表示されます。

 FileMaker 社のサンプル動画(英語)



2. 7つのタッチキーボードタイプ

 フィールド別に適したキーボードが表示されます。

電話
電子メール
URL
数字10キー
数字キーパッド
数字と句読点
ASCII

 FileMaker Go に適したキーボードレイアウトの特定方法は、以下のページが参考になります。

 FileMaker Go での特定のデータ型に対応したキーボードの使い方(英語)
 How to use specific data type keyboards with FileMaker Go


3. バーコードの読み取り

 スクリプトステップ「デバイスから挿入」を使い、iPad や iPhone のカメラ機能からバーコードスキャンできます。

FileMaker 社のサンプル動画(英語)
より正確な動作コントロールを FileMaker Go の iOS ソリューションに導入する方法
How-to Include Precise Controls in your iOS Solution for FileMaker Go




4. スライドコントロール

 フォームに複数のスライドパネルを追加でき、変更可能なコンテンツ領域を作成可能。

 FileMaker 社のサンプルビデオ - スライドコントロール




5. ポップオーバー/タッチテーマ

 フィールドのグループ化や、リンクの追加、その他詳細の表示
 テーマデザインは 5 種類から選択可能

 [テーマの変更]ダイアログボックスで、デバイス用に設計されたタッチテーマのいずれかを選択。
 タッチテーマではMS Pゴシックとヒラギノ角ゴProN W3のフォントが使用される。

 
FileMaker Server 13 と FileMaker Go12/13 のハイブリット運用時の注意点

FileMaker Go 12/13、および FileMaker Server 13/FileMaker Server 13 のハイブリッド環境でデータベースを運用したい場合は、接続制限や機能制限に十分お気をつけください。
こちらの資料が参考になります。

FileMaker Server 13 ホストとクライアントの互換性チャート




 FileMaker Go 向けのデータベースを開発する際は、あらかじめレイアウトの操作性やパフォーマンスなどを考慮する必要がでてきます。

 ここでは、できるだけ手間をかけずに開発するヒントと開発に役立ちそうなリソースをご紹介します。


効率のよい開発方法 ― Starter Solution


 FileMaker Pro 12/13 の「ファイル(F)」メニューに用意されている「Starter Solution から新規作成」コマンドを使うと、汎用的なソリューションのテンプレートを作成できます。



 試しに FileMaker Pro 12 の Starter Solution でタスクデータベースを作成してみます。


 すぐにタスク.fmp12 というデータベースができあがります。


 このデータベースには、すでに iOS 向けに最適化されたレイアウトがいくつか登録されています。


 既存の iOS 向けレイアウトを修正したり、複製したりしてデータベース設計を行うことにより、開発を効率化することができます。

 以下は、iPad 向けに最適化されたタスクフォームです。
 iPad の表示領域に合わせ、フィールドの幅を伸縮できるようにするには、インスペクタの自動調整機能でアンカーを設定します。


 FileMaker Pro 12 の Starter Solution に用意されている iOS 向けのレイアウトは、縦置き向けのみが用意されています。
 よって、横置き向けのレイアウトが必要な場合は、別途作成する必要があります。

 FileMaker 社のサンプルビデオ - FileMaker Go 12 iPad 用レイアウトの作成




FileMaker Pro 13 の場合

 FileMaker Pro 13 では、デバイス別に最適化されたレイアウトを簡単に作成できます。
 新規レイアウトを作成する際に、以下のような選択ダイアログが表示されます。


 「タッチデバイス」を選択すると、各種モバイルデバイスに最適化されたレイアウトサイズの一覧が表示されますので、その中から作成したいサイズのデバイスを選択します。

 また、画面左下のアイコンを切り替えることにより、縦置き、または横置きレイアウトを選択できるようになっています。

注意:
 横置き向けに最適化されたサイズのレイアウトは、実際に FileMaker Go で縦置きにブラウズした場合、レイアウトに情報が入りきらない可能性があります。

 あらかじめ縦置き向けにレイアウトを作成するのが手間のかからない方法ですが、横置きで情報を見せる必要がある場合は、縦置き用レイアウト、横置き用レイアウトの両方を用意して対応する必要があるかもしれません。



FileMaker Go 12

ダウンロード版配布終了。
これから使用をご検討中の方は、FileMaker Go 14 をご検討ください。

FileMaker Go 12 で利用できるようになった機能

1. 以下のグラフタイプをサポート
  縦棒グラフ
  積み重ね縦棒グラフ
  正負縦棒グラフ
  横棒グラフ
  積み重ね横棒グラフ
  円グラフ
  線グラフ
  面グラフ
  散布図
  バブルグラフ

2. リモートコンテナのサポート
 オブジェクトフィールドで外部参照を行うことで、オブジェクトフィールドの中にデータ埋め込みができます。
  カメラ
  オーディオ(録音)
  署名
  写真
  音楽(ミュージックイブラリ)
  ファイル

 実際の操作方法は、後述の「より正確な動作コントロールを FileMaker Go の iOS ソリューションに導入する方法」の動画をご覧ください。

3. タブパネルで条件式書式を設定できる

4. レコードのエクスポート
 ほぼすべてのエクスポート機能をサポート(ファイルフォーマット制限あり)


参考:FileMaker 社の FileMaker Go 12 新機能紹介ビデオ(英語)
What's New in FileMaker Go 12?



FileMaker 社が提供しているリソースを使ってじっくり開発

 FileMaker Go (iPad/iPhone 用 FileMaker アプリ)向けにデータベースを設計する際に参考になるリンク集

a) FileMaker Go リソースセンター

FileMaker 社が提供する FileMaker Go リソースセンターから、FileMaker Go 向けのソリューションの開発方法を学べます。

FileMaker Go リソースセンター



b) FileMaker Go テクニカルブリーフ(FileMaker Pro 12 向け。13 は見つからず)

 FileMaker Go 向けのソリューションを開発する際の OS 条件、から機能的な制約、特徴などが簡潔にまとめられた PDF ファイルです。


FileMaker Go テクニカルブリーフ


c) FileMaker ® Go 13 デベロップメントガイド


1) データベースの定義
2) インポート
3) .fmp12、XML、または Excel .xls 形式へのエクスポート
4) スペルチェック
5) プラグイン
6) レイアウトモードとプレビューモード

 あたりは、FileMaker Go では使えませんので、開発時に特に気を付ける必要がありますね。

FileMaker® Go 13 デベロップメントガイド




参考になりそうなサードパーティ製の無料ツール

a) FileMaker Go Cheat Sheets

 Kcunning Consulting 社で配布されている FileMaker Go 開発早見シートです。
 2 ページ構成の PDF ファイルですぐに要点を抑えられるように工夫されています。



 FileMaker Go Cheat Sheet (iPad Edition) (英語)


b) FileMaker Go ToolKit

 Soliant Consulting 社で配布されている、無料の FileMaker Go 用ツールキット。
 FileMaker Pro 11 版向けに作られたものですので、FileMaker Pro 12/13 で使用する際はファイル変換が必要となります。

 モバイルデバイスの要件に合わせたデータベース設計時のヒントも示されていますので、大変参考になります。

 日本語版も配布されていますね。



FileMaker Go Toolkit


c) FileMaker Go Training Tool

 Richard Carlton Consulting 社で配布されている FileMaker ファイル形式のトレーニングツールです。
FileMaker Go 向けの開発ヒントが画像りで解説されています。
英語版です。



 FileMaker Go Training Tool (英語)






参考になりそうなビデオ:
FileMaker プラットフォームでビジネスソリューションを手早く作る
Create business solutions quickly with the FileMaker platform (英語)


参考記事:
iPad のバーコードスキャンで入庫伝票を作成 ― FMEasy在庫のカスタマイズ



2014-07-27

受注・受注残管理モジュールを作る(2)テーブル、リレーション、レイアウトの設計 ― FMEasy在庫のカスタマイズ

 受注残は面倒なので脇に置いておき、まず受注モジュールを作ります。
 作業にあたり、カスタマイズする『FMEasy在庫 R1.0/R1.5』は分離モデル(注)を採用しているため、作業するファイルが2つ ― EasyApp15.fmp12とEasyData15.fmp12 ― あることに注意してください。

 EasyData15.fmp12 は業務データ用のファイルで、原則として業務用テーブルに加え、業務用テーブルの計算フィールドに使用する最小限のリレーションを含みます。
 EasyApp15.fmp12 はアプリケーション/システム用のファイルで業務用テーブルは含まず、アプリ用のテーブルとリレーション、レイアウト(画面や帳票)、さらに業務ロジックを組み込んだスクリプトを含んでいます。

 作業に際しては、このことを念頭に混乱のないよう作業を進めてください。

注:『FMEasy在庫 R1.0/R1.5』は テンプレートですので、データファイルとアプリファイルの分離度は高くなっていません。
 分離度を高めるためには、データファイル(EasyData.fmp12)では計算フィールドやフィールド制御は極力行わないように設計します。

受注モジュールのテーブル、リレーション、レイアウト、スクリプトを作る

 受注モジュールは出庫モジュールと類似していますので、出庫関連のテーブル、リレーション、レイアウト、 スクリプトをある時はコピー・変更し、あるときは直接変更し、またあるときは変更することなく共用します。

 『FMEasy在庫 R1.0/R1.5』は、最小限の労力で他の類似モジュールを追加できるよう設計しています。

EasyData15でテーブル/フィールドを作成・定義する

 まずはテーブルから作成します。EasyData12.fmp12の出庫/入出明細テーブルを下図のように選択し、コピペし、それぞれの名称を「受注」と「受発注明細」に変更します。

 入出明細テーブルは、出庫明細と入庫明細の共用テーブルであるため、今後発注モジュールに対応することを想定して「受発注明細」という名称にしておきます。

※本稿では原則として発注には触れませんが、発注関連モジュールも開発する場合、発注関連のテーブル/リレーション/スクリプトも作成しておく方が効率的です。

図1.出庫、および入出明細テーブルをコピー&ペーストして、受注、および受注明細テーブルを作る

 2テーブルの名称を変更したら、その中のフィールド名を変更(図3/4)。

注:
  • フィールド名は後述の図3と図4に準じること(変に変更すると、スクリプトの変更が大変になる)
  • フィールドの変更・削除は極力しない→動作しなくなる
  • 入庫関係のフィールド名は、発注モジュールを作成する場合に備えそれらしく変更しておく(入庫No→発注No)
なお、受注用のリレーションが無いと設定できない計算フィールドは、下記のリレーションシップを設定後に定義します。

EasyData15でリレーションシップを作成する

 EasyData15.fmp12 のリレーションシップは出庫TOG(Table Occurence Group)をコピペし、出庫TOGに準じて下図のオレンジのTOG のように設定します。
なお、、リレーションシップも複数選択してペーストができます。

図2.出庫レイアウトTOG をコピー&ペーストして受注レイアウトTOGをつくる

 リレーションシップを正しく設定すると、<不明>あるいは<フィールドが見つかりません>と表示されていた計算フィールドを定義できるようになりますので、これも出庫/入出明細の計算フィールドに準じて定義していきます。

図3.リレーションシップを設定後、受発注明細テーブルのフィールドを再定義

図4.リレーションシップを設定後、受注テーブルのフィールドを再定義

EasyApp15でリレーションシップを作成する

 EasyApp15.fmp12 のリレーションシップも出庫TOG(Table Occurence Group)をコピペし、出庫TOGに準じて下図のように受注レイアウトTOGを設定します。

 赤枠の部分の「得意先List」と「出庫商品List」はUIテーブルとのリレーションシップであるため各レイアウトから共用できるので、受注側での作成は不要となります。
 また、濃い青の3つのTO(Table Occurence)はIWP(インスタント)専用であるため今回は作成しませんが、受注モジュールをIWPに対応させる方は作成する必要があります。

 なお、TOの名称は下図に準じるようにしてください(変な名称を付けると、スクリプトの変更が大変になってしまいます)。


レイアウト/値一覧を作成する

 受注用レイアウトは EasyApp15 側でのみ作成します。出庫レイアウトをレイアウトモードで表示し、[レイアウト]―[レイアウト複製]を選択します(一種のコピペ)。
図の赤枠内のように、レイアウト名を「出庫のコピー」から「受注」に、レイアウトテーブルを「出庫」から「受注」に変更します。


 この段階ではフィールド/ポータルは出庫または入出明細のものが貼られているので、フィールドをダブルクリックしながら、受注/受注明細関連のものになるように変更していきます。
 また、出庫No/出庫日、出庫などのレーベル名も適当なものに変更しましょう。また、変更漏れがないように注意するようにしてください。

 値一覧は、伝票区分、担当ID、得意先ID、商品ID、請求部署ID、数量、単位の各フィールドで使用されているが、変更する必要があるのは、伝票区分と請求部署IDに割り当てられているもののみ。

 ここまで、慣れている人であれば1~2時間でできると思われますが、次のスクリプトからがかなり作業が複雑になってきます。

注:
 受注一覧、受注伝票の各レイアウトも実務では必要になると思われるので、前者については出庫一覧レイアウトを、後者については入庫伝票レイアウトを上記の要領でコピーして作成してください。

スクリプトを変更する

 さて、出庫レイアウトをコピーして作った受注レイアウトは以下のようになります。
 ボタンに割り振られたスクリプトだけではなく、フィールド/レイアウト等に割り振られたスクリプト(赤枠部)もひとひとつ変更が必要かどうか吟味し、必要があれば変更を加えていきます。

 スクリプト変更はかなり骨が折れる作業で、下手に変更を加えると他のモジュールに障害を与えることがあるので慎重に作業してください。 変更後のテストも十分に行う必要があります。



 下表はスクリプトが割り振られたオブジェクトの一覧です。
 チェックマークが付いてるものは変更が必要になります。
*1 『FMEasy在庫 IWP/WD R1.5』でのみ利用可。変更難度高し。“選”ボタンを受注対応させない場合、レイアウトから削除すること。


以上

 
(土屋)

2014-07-18

受注・受注残管理モジュールを作る(1)概要と開発方針― FMEasy在庫のカスタマイズ

 弊社に寄せられる各種問い合わせで多いのがモジュールの追加 ― 「売上入金残管理モジュールを作りたい」、「受注残管理をしたい」といったものです。
 これらの質問はあまりにカバーする範囲が広く、また漠然としているので、回答も漠然としたものになります。

 そこで今回から数回にわたり、『FMEasy在庫 R1.0/R1.5』をカスタマイズし、受注・受注残管理モジュールを付加する方法の概要ご説明したいと思います。 

機能概要

  • 受注管理
  • 入力支援機能(FMEasy在庫 IWP/WD R1.5 のみ)
  • 受注伝票毎及び得意先毎の受注残管理 
  • 受注明細レベルで分納に対応する


用語

  • 在庫 ― 商品の入庫数計-出庫数計
  • 受注残 ― 商品の受注数計-出庫数計
  • 可用在庫 ― 在庫-受注残


注:
 弊社では商品の[在庫]から[受注残]を差し引いた値を[可用在庫]と呼んでいます。意味としては、倉庫に物理的に存在するだけではなく、買い手が決まっておらず(受注残となっていない)、得意先から注文があればすぐに出庫できる状態にある在庫です。
 逆に、倉庫に物理的に存在していても、買い手が決まっていて何らかの事情により倉庫に留め置かれている在庫は、出庫不能な在庫(非可用在庫)となります。


画面イメージと移植する機能

 弊社が2004年6月にリリースした「FlexManager R1.5」という製品の受注・受注残モジュールの一部を『FMEasy在庫』に移植します。下図はそのオールド製品の画面です。


【受注】

受注画面
 受注情報を入れる画面。この画面から必要最低限の機能を『FMEasy在庫』に移植します。


【受注残管理】
受注残管理画面

 受注残管理画面。受注残管理だけではなく、受注情報を利用した発注処理、その発注に対する入荷情報の表示(画面の[発注数(内入荷)])にも対応していますが、今回は発注・発注残管理機能には触れません。この画面から、受注残管理の必要最低限の機能を『FMEasy在庫』に移植していきます。


【分納管理】

分納管理画面

 受注商品データを売上に移行するための画面。新規に売上伝票を作成して(“新”ボタンを使用)そこへ受注データを移行することも、既存の売上伝票([売上No]をプルダウンメニューから指定)の売上明細に受注データを付加することもできます。なお、『FMEasy在庫』では売上モジュールはなく、代わりに出庫モジュールへ移行することになります。

開発方針

 「FlexManager 1.5」は結構機能がテンコ盛なので、複雑になりすぎないよう、受注残管理に焦点をあてて、必要最低限の機能を移植したいと思います。 (次回へ続く)



(土屋)